JpGU-AGU Joint Meeting 2020

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[J] ポスター発表

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[O-05] 日本のジオパークから日本列島の成り立ちを知る

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡ジオパーク推進協議会)、今井 ひろこ(コムサポートオフィス/和歌山大学国際観光学研究センター)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)

[O05-P23] 電気伝導度で阿蘇ジオパークの水を教える教育プログラム

*鍵山 恒臣1高森 秀平1兒玉 夏子1池辺 伸一郎1石松 昭信1 (1.阿蘇ジオパーク推進協議会)

キーワード:阿蘇ユネスコ世界ジオパーク、湧水、電気伝導度

阿蘇ユネスコ世界ジオパークを構成する重要な用件の一つに豊かな湧水があげられる。豊かな湧水がどのように育まれているか?阿蘇火山とどのような関連があるのか?このような疑問や理解、湧水に関する関心を地域社会の中で高めていくことがジオパーク活動の目標の1つである。こうした観点から湧水に関する普及活動を試みたので報告する。

阿蘇ジオパークに湧く湧水を電気伝導度という尺度で見ると、3種類あることが明らかとなっている;カルデラ外輪山周辺に湧く10 mS/m程度の湧水、中央火口丘山麓に湧く30 mS/m程度の湧水、温泉水として湧く数100 mS/mの水である。これらの水は、阿蘇火山とのかかわりの違いによって生み出されていることが明らかとなっている。

この面白さを地域社会で理解してもらうには、まず、難解なミリジーメンス(mS/m)という単位を使用している電気伝導度について親しみを持ってもらうことが必要である。そこで、高校生を対象として、以下の体験実験を行った。普通の水道水500 mlに食塩を耳かき1杯、2杯、3杯と加えながら水の電気伝導度を測定したところ、ある比例関係で水の電気伝導度が高くなっていくことがわかった。この作業を通して、高校生たちはもう1杯食塩を加えたら次は電気伝導度がいくらくらいになるかを当てることができるようになり、水の電気伝導度は溶けているイオンの量によって変わっていくことを実感として理解した。次に、身近な様々な水の電気伝導度を測定し、いろいろな電気伝導度を持つ水があることを理解してもらった。この作業をとおして、この水には耳かき何杯分の食塩に相当するイオンが溶けているかを想像することができるようになった。次に、阿蘇カルデラ内のさまざまな水の電気伝導度を測定することで、ジオパーク内の水に3種類があることを理解してもらった。実験を体験した高校生は、その後自分の身近な水を電気伝導度という尺度で考える自由研究を行っている。

こうした作業を発展させて、大分で開催された日本ジオパーク全国大会において、電気伝導という尺度で水を考えてみるワークショップをおこなった。九州ジオパークの皆さんからは、それぞれのジオパークを代表する水を提供していただき、相互に比較する試みを行った。ワークショップ参加者の中には、自宅付近の湧き水を持参して来られるかたもあり、九州各地の水にもそれぞれの特徴があることを実感してもらえた。

こうした取り組みは、まだ始めたばかりであり、よりわかりやすいプレゼン方法を考え、地域社会の中で水に対する関心を高めていきたいと考えている。また、九州ジオパークの皆さんには、水を提供していただいた。感謝いたします。