JpGU-AGU Joint Meeting 2020

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[J] ポスター発表

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[O-05] 日本のジオパークから日本列島の成り立ちを知る

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡ジオパーク推進協議会)、今井 ひろこ(コムサポートオフィス/和歌山大学国際観光学研究センター)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)

[O05-P42] 立山黒部ジオパークと富山大学による連携事例

*原田 拓也1山岡 勇太2今堀 喜一2中川 潔2大西 宏治1安江 健一1 (1.富山大学、2.一般社団法人立山黒部ジオパーク協会)

キーワード:立山黒部ジオパーク、富山大学、連携、地域づくり

はじめに 立山黒部ジオパークは,富山県東部の9市町村と富山湾の一部で構成される日本ジオパークで,国内で唯一,民間組織により運営されている.そのため,多くの企業や組織と強く連携した活動を展開しており,富山大学も例外ではない.富山大学は,立山黒部ジオパークの立ち上げ当初から深く関与しており,現在も企画開発や講師依頼などさまざまな場面で協力している.本報告では,これまで行われてきた連携事例を紹介し,今後の展望について論じる.

連携事例 立山黒部ジオパークと富山大学との連携事例は,大きく分けて,①ジオパークへの講師派遣,②大学教育への参加,③企画・商品の共同開発などがあげられる.①では,立山黒部ジオパークで実施している教育活動に富山大学の教員や学生が参入し,理科教育や地域学習,防災教育につなげている.また,ジオガイド研修の講師としても富山大学の教員が関わり,ガイド活動に必要なさまざまな知識や技術を解説した.②では,大学が開講する講義や研修にジオパークが参画することで,地域を題材とした大学での教育活動に協力している.③では,富山大学の教員ないし学生と共に,ジオツアーの開発・運営やガイドブック作成等を進めている.ほかにも,立山黒部ジオパークエリアを対象とした共同研究の実施や,大学の講義において,ジオパークを題材とした課題演習を取り入れるなどしている.

今後の方向性 ジオパークと大学との連携は,双方にメリットがあると考える.ジオパークとしては,(1)学術面におけるサポートを受けることができると同時に,(2)企画や事業に対し,多方向からの意見やアプローチをもらえる.また,(3)ジオパークに興味を持ち,専門員等のジオパーク関係職を希望する学生が増えるかもしれない.大学としても,(a)地域での調査・研究が取り組みやすくなるほか,(b)専門知識や研究成果を地域へ還元することができ,(c)学生のスキルアップやキャリアアップにもつながる.
 また,今日の日本ジオパークでは,全体的に専門員人口が減少傾向にあり,立山黒部ジオパーク協会も,専門員を複数名雇用できていないという点が一つの課題としてあげられた.これに対し,大学と密な連携を進めることにより,専門員の不足を補う学術的支援や企画運営の協力など,大学側からのある程度のフォローが期待できる.現在,立山黒部ジオパークと富山大学との間で,今後もより強固な連携を図っていけるように,協定締結を目指した協議が進められている.