JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-06] キッチン地球科学:手を動かす実験で頭脳を刺激しよう!

コンビーナ:熊谷 一郎(明星大学理工学部)、久利 美和(気象庁)、市原 美恵(東京大学地震研究所)、栗田 敬、座長:熊谷 一郎(明星大学理工学部)

[O06-05] 対流構造が作るフラクタルパターンーミルクコーヒーから考える地球科学ー

*下川 倫子1 (1.福岡工業大学)

キーワード:パターン形成、フラクタル、重力不安定性、対流

低密度の牛乳の上に高密度のコーヒーの液滴を一滴、静かに置くと、コーヒーの液滴の沈降過程で、牛乳表面にコーヒーが描くフラクタル構造が自発的に形成される。このフラクタルパターンの形成は、容器の中心から容器の壁の間で生まれる鉛直方向の対流構造によるものである。対流構造を変化させる目的で容器の半径rと容器に注いだ牛乳の深さhを変化させた実験を行ったところ、r<hの条件下での実験では従来のフラクタルパターンが形成されるが、r>hの条件下ではセルパターンが観察された。このパターンの遷移現象の要因を明らかにするため、鉛直方向の対流構造を観察したところ、r~hを境に対流構造が変化することにより、r~hでフラクタルパターンからセルパターンへの遷移現象が起こることが分かった。空を見上げると見える様々な雲のパターンの一部は、ミルクコーヒーの中で見える身近な現象と類似したダイナミクスであると考えられる。本講演では、ミルクコーヒーの表面パターンに関する詳細な実験結果を報告するとともに、そのパターン形成のダイナミクスを表現した現象論モデルと実験結果との比較を通して、考察する。