[PPS09-24] 惑星の動的磁場 ― マクロ・スピンモデルから ―
キーワード:磁極反転、マクロ・スピンモデル、木星の磁場、水星の磁場
地球の磁場は間欠的に磁極反転する。太陽の磁場は短周期22年で磁極反転し、さらに長周期で弱く変動する。しかし磁極反転を起こすきっかけは未だ解明されていない。数値シミュレーションから反転のトリガーに迫ろうとする研究が主流だが、計算機の制約のため、非現実的なパラメーター値になってしまうし、反転の回数が少ないという現状がある。そこで我々は、反転の物理的なエッセンスを抽出したモデルを提唱し、反転がトリガーされる様子を明らかにした。我々は(Nakamichi, et. al, 2012, Mon. Not. R. Astron. Soc., 423, 2977), (Mori, et. al, 2013, Phys. Rev. E 87, 012108)において、テイラー柱の渦に電流が巻き付くことによって生成された磁場をモデル化してマクロなスピンで表し、複数の小さなダイナモ要素に対応するマクロ・スピンたちが同期するモデルを考え(図1: 地球外核のダイナモ領域におけるN個のマクロ・スピンを矢印で表す。)、地球と太陽の両方の磁極反転を同じモデルで再現した。また、次元に依存する物理を検討するため(Kunitomo, Nakamichi, Hara, 投稿中)において2次元だったマクロ・スピンを3次元化した。
本講演では、マクロ・スピンモデルを惑星の磁場に適用した。木星探査機JUNOが測定した木星磁場は赤道付近にもう1つの極が存在する非双極型とする観測結果は、木星が磁極反転している途中である可能性を指摘する。 (図2: マクロ・スピンモデルを用いて再現した木星の磁極の時間発展。時間が経つと赤道付近にも極が出現し、やがて磁極が反転する。) また、メッセンジャー探査機によって測定された水星の磁場が南北非対称であるとする結果も、マクロ・スピン結合モデルにて再現した。水星の場合は、もともとの磁場が南北非対称だった可能性がある。さらに、熱の流れを取り入れるようにモデルを発展させ、熱の流入とエネルギー散逸が存在しても、木星と水星の特異な磁場を再現できることを示した。
このように、惑星は一般に動的磁場を持つと考えることができる。磁極反転や磁場の活動性の起源は、エネルギー流の中のマクロ・スピンたちの作る同期構造である。
最後に、磁場構造による惑星の分類についても議論する。
本講演では、マクロ・スピンモデルを惑星の磁場に適用した。木星探査機JUNOが測定した木星磁場は赤道付近にもう1つの極が存在する非双極型とする観測結果は、木星が磁極反転している途中である可能性を指摘する。 (図2: マクロ・スピンモデルを用いて再現した木星の磁極の時間発展。時間が経つと赤道付近にも極が出現し、やがて磁極が反転する。) また、メッセンジャー探査機によって測定された水星の磁場が南北非対称であるとする結果も、マクロ・スピン結合モデルにて再現した。水星の場合は、もともとの磁場が南北非対称だった可能性がある。さらに、熱の流れを取り入れるようにモデルを発展させ、熱の流入とエネルギー散逸が存在しても、木星と水星の特異な磁場を再現できることを示した。
このように、惑星は一般に動的磁場を持つと考えることができる。磁極反転や磁場の活動性の起源は、エネルギー流の中のマクロ・スピンたちの作る同期構造である。
最後に、磁場構造による惑星の分類についても議論する。