JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG67] 地殻流体と地殻変動

コンビーナ:北川 有一(産業技術総合研究所地質調査総合センター地震地下水研究グループ)、小泉 尚嗣(滋賀県立大学環境科学部)、梅田 浩司(弘前大学大学院理工学研究科)、角森 史昭(東京大学大学院理学系研究科地殻化学実験施設)

[SCG67-P01] 2016年熊本地震後の河川水・湧水の変化

*小泉 尚嗣1箕手 慎介2田中 達也3森 あずみ4安食 拓海5佐藤 努6高橋 浩6松本 則夫6 (1.滋賀県立大学環境科学部、2.株式会社たねや、3.JAレーク大津、4.淀川ヒューテック株式会社、5.株式会社近畿エコサイエンス、6.産業技術総合研究所地質調査総合センター)

キーワード:水文変化、熊本地震、保水能力、地すべり

2016年4月14日のM6.5の前震と,その28時間後のM7.3の本震を主要な活動とする2016年熊本地震は,熊本県において水文学的変化(河川水や地下水等の変化)も引き起こした。本研究では,2016年熊本地震による強震動域内の8地点において,2001年~2017年の河川日流量データを主に解析した。また,同地域内の11点において,2016年熊本地震後に10回程度湧水の調査も行った。地震直後において河川流量に若干の変化があったが、その変化量以上に大きな河川流量増加が、地震の2か月後に発生した豪雨に続いて,8観測点の中のいくつかで記録された。このような河川流量増加は,地震による地滑りによって引き起こされた集水域の保水能力の低下で説明できる。他方,地震後の湧水量の変化はそれほど明確ではなかった。湧水の水温と水質もほとんど変化しなかったが,地表起源と考えられるNO3-濃度のみが,地震直後にわずかに増加した。これらの結果は,2016年熊本地震後の河川水・湧水の変化は,主に地震による表面現象によって引き起こされたことを示すと考えられる(Koizumi et al., 2019).


参考文献

Koizumi, N., S. Minote, T. Tanaka, A. Mori, T. Ajiki, T. Sato, H. A. Takahashiand N. Matsumoto, Hydrological changes after the 2016 Kumamoto earthquake, Japan, Earth, Planets and Space, 71, https://doi.org/10.1186/s40623-019-1110-y, 2019.