[SEM21-08] 阿蘇火山の3 次元磁化構造について
キーワード:阿蘇火山、3次元磁気インバージョン、磁化構造
阿蘇火山ではこれまでに、山体構造の把握を目的に、中岳火口及び中央火口丘上空でヘリコプターを用いた空中磁気観測が行われた。2002年には中岳上空2km x 2kmの範囲で、複数の高度における空中磁気観測が行われた。2004年及び2005年には、電力中央研究所の主導のもと、草千里~中岳を含む約6km x 6kmの範囲で空中磁気観測が行われた。さらに2013年には、国土交通省及び大日本コンサルタントにより東西約14km、南北8kmの領域で空中磁気観測が行われた。本研究では、これらのデータを再解析し、2014年噴火前の阿蘇火山の山体磁化構造を求めた。
解析に先立ち地形効果の除去を行った。山体が一様に磁化した場合に期待される磁気異常を計算し、IGRF補正済みの実測値との残差が最小になるよう一様磁化の値を求めた。この一様磁化の値は対象領域の平均的な磁化に相当すると考えられるが、計算の結果約3A/mと見積もられた。次に、観測範囲のスケールを超える長波長な磁気異常の影響を除くため1次傾向面解析を施し線形トレンドを除去した。構造解析に於いては、地下を一様なグリッドに分割し、各々のグリッドの磁化強度を未知パラメータとしてインバージョンで最適解を推定する。この際のグリッドサイズが磁気異常を再現できる最短波長を規定するが、実測データに含まれる最短の波長をこれに揃え計算の安定度を増すため、地形補正、傾向面補正済みのデータに対し上空の各々50m x 50m x 50m の範囲でblock meanを求め、これをインバージョンの入力データとした。
インバージョンにあたっては、阿蘇火山中央火口丘を含む10 x 10km, 深さ2.5kmまでの領域を200 x 200 x 50の小ブロックに分割し、各々のブロックの磁化を求めた。この際、単に残差を最小にするのではなく、正則化項を付加した目的関数(残差項と正則化項をパラメータで結合したLagrange関数)を最小化することを行った。なお正則化項についてはモデルのL1ノルム及びL2ノルムからなるものを用いた。L1ノルム正則化項を用いる事でモデルに疎(スパース)性がもたらされることが知られており、これにより、より解像度の高い結果が得られることが期待される。本発表では、この磁化構造インバージョンの解析結果について詳細を紹介する。
*本研究に当たっては、電力中央研究所、国土交通省、大日本コンサルタント様にデータを供与頂きましたと共に、データ使用についての許諾をいただきました。ありがとうございました。
解析に先立ち地形効果の除去を行った。山体が一様に磁化した場合に期待される磁気異常を計算し、IGRF補正済みの実測値との残差が最小になるよう一様磁化の値を求めた。この一様磁化の値は対象領域の平均的な磁化に相当すると考えられるが、計算の結果約3A/mと見積もられた。次に、観測範囲のスケールを超える長波長な磁気異常の影響を除くため1次傾向面解析を施し線形トレンドを除去した。構造解析に於いては、地下を一様なグリッドに分割し、各々のグリッドの磁化強度を未知パラメータとしてインバージョンで最適解を推定する。この際のグリッドサイズが磁気異常を再現できる最短波長を規定するが、実測データに含まれる最短の波長をこれに揃え計算の安定度を増すため、地形補正、傾向面補正済みのデータに対し上空の各々50m x 50m x 50m の範囲でblock meanを求め、これをインバージョンの入力データとした。
インバージョンにあたっては、阿蘇火山中央火口丘を含む10 x 10km, 深さ2.5kmまでの領域を200 x 200 x 50の小ブロックに分割し、各々のブロックの磁化を求めた。この際、単に残差を最小にするのではなく、正則化項を付加した目的関数(残差項と正則化項をパラメータで結合したLagrange関数)を最小化することを行った。なお正則化項についてはモデルのL1ノルム及びL2ノルムからなるものを用いた。L1ノルム正則化項を用いる事でモデルに疎(スパース)性がもたらされることが知られており、これにより、より解像度の高い結果が得られることが期待される。本発表では、この磁化構造インバージョンの解析結果について詳細を紹介する。
*本研究に当たっては、電力中央研究所、国土交通省、大日本コンサルタント様にデータを供与頂きましたと共に、データ使用についての許諾をいただきました。ありがとうございました。