JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] 測地学

コンビーナ:松尾 功二(国土交通省国土地理院)、横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、岡 大輔(地方独立行政法人北海道立総合研究機構環境・地質研究本部地質研究所 )

[SGD02-P06] 海岸付近での重力連続測定による地下水面の潮汐応答に起因する重力変動観測の試み

*後藤 宏樹1,2杉原 光彦1,2西 祐司1,2池田 博2 (1.二酸化炭素地中貯留技術研究組合、2.産業技術総合研究所)

キーワード:超伝導重力計、地下水面、潮汐、沿岸域、不圧地下水

海岸付近では、不圧帯水層の地下水位が潮位変動に対して応答する。そのため、海岸付近で得られる重力データには、地下水面の潮汐応答に起因する重力変動が含まれると予想される。本研究では、北海道苫小牧市の沿岸域の複数地点において重力および地下水位の連続測定を行い、地下水面の潮汐応答に起因する重力変動の観測を試みた。重力計は、標高が8m、海岸からの距離が70、80mの2地点に1台ずつ設置した。超伝導重力計を使用し、各々の感度は、既に感度を決定済みであった隣接の別の超伝導重力計との比較から決定した。水位センサは、海岸からの距離が60、90mの2地点に掘削した井戸に設置した。2つの井戸で観測された水位変化には、日周期および半日周期の変動が認められた。その振幅は海岸からの距離が近いほど大きく、地下水面の潮汐応答が観測されたと考えられる。2台の重力計から得られたデータに対して、その差をとることで同相の変動を除去し、さらに2つの測定点における海洋荷重の差も除去した結果、日周期および半日周期の変動が認められた。また、重力差の変動と各重力計から得られる重力変動には、位相差が認められた。この重力差の変動は、各重力測定点の直下の地下水位の潮汐応答の振幅と位相の差に起因する可能性がある。観測結果は、海岸からの距離が異なる複数の測定点で重力を連続測定し、その差をとることにより、地下水面の潮汐応答に起因する重力変動に関する情報が取得される可能性を示している。なお、地下水面の潮汐応答は帯水層の水理特性に依存するため、それに起因する重力変動を観測・解析することは、帯水層の水理特性評価に貢献する可能性がある。