JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT26] 核ーマントルの相互作用と共進化

コンビーナ:太田 健二(東京工業大学理学院地球惑星科学系)、飯塚 毅(東京大学)、河合 研志(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、土屋 卓久(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)

[SIT26-14] KamLANDにおける地球ニュートリノ観測の最新結果

*渡辺 寛子1 (1.東北大学ニュートリノ科学研究センター)

キーワード:地球ニュートリノ、地球内放射性物質、地球熱史

東北大学ニュートリノ科学研究センター主導のもとに行われているKamLAND実験は、岐阜県飛騨市の神岡鉱山地下1000mに設置された世界最大量である1000トンの液体シンチレータを用い、2002年の建設以来、幅広いエネルギ ー領域に感度を持つ事でニュートリノ観測を包括的に推進してきた。ニュートリノ振動パラメータの超精密測定等によりニュートリノの素粒子としての性質が徐々に明らかにされ、近年ではその透過性の高さを利用した不可視の天体内部観測が現実的なものとなっている。
地球内部に存在するウランやトリウムといった放射性物質はその崩壊によって熱を放出すると共に、反電子ニュートリノ(地球ニュートリノ)を放出する。地熱は、地磁気生成やマントル対流、ひいては地震や噴火の原因であり、地球を理解する上で重要なパラメータであるにもかかわらず、地球内部の熱生成を直接測定するのは難しい。主要な熱源と考えられている放射性物質が地熱生成に占める割合も、隕石測定等の間接的な手法に頼らざるを得なかった。地球ニュー トリノ観測は、地球科学的知見を得る新たなツールとして素粒子物理学と地球科学の分野横断的体制のもと発展してきている。
KamLANDは、2005年に地球ニュートリノの世界初観測を成し遂げて以来、世界最高精度での観測を安定的に続けている。近年では、地球ニュートリノ観測の最大のバックグラウ ンド源であった日本の原子炉の停止により、低バックグラウンド観測が実現しており、観 測精度のさらなる向上が期待できる。
本講演では、原子炉底運転期間を含む最新データを用いた地球ニュートリノ観測結果について報告する。