[SSS13-01] 世界の大規模地震の続発性 -千島海溝の地震について―
キーワード:続発大規模地震、千島海溝
ISCのGEMのv5のデータに基づいて,大規模地震の続発について調査してきている(橋本・横田,2019など).ここでは,根室沖などで地震発生の可能性が懸念されている千島海溝沿いの地震について,改めて,大規模地震の発生後,同程度の規模の地震が続発しているかどうかという観点で,復習的に調査を行ったので,報告を行う.Fig.1に千島海溝沿いの大規模地震の震源域を次のようにトレースを行った.1952年カムチャツカ地震・1915年などの地震;Fedotov, S. A. et al.(1982) ,2005年・2006年の千島列島東方の地震;Fujii, Y. and Satake, K. (2008),1969年色丹島沖地震・1963年択捉島沖地震;Ioki, K. and Tanioka, Y. (2006, 2011),1973年根室半島沖地震;Namegaya, Y. and Tsuji, Y. (2004) ,1894年根室沖地震;Tanioka, Y. et al.(2007),1952年および2003年十勝沖地震;Hirata, K. et al. (2009),およびYamanaka, Y. and Kikuchi, M. (2003)を用いた.1983年6月4日M7.7の地震が色丹沖で発生し,1894年3月22日M7.9の地震が発生している.1918年9月7日M8.10の地震が択捉島沖の海溝軸の外側で発生し,同年11月8日にM7.83の地震が同様に海溝軸の外側で発生している.2006年11月15日M8.30の地震がシムシル島沖で発生し,2007年1月13日にM8.11の地震が海溝軸の外側で発生している.このような事例が,千島海構沿いの地震としては,大規模な地震が続発したものと考えられる.なお,1918年11月8日の地震は,ISCGEM(v4)のデータでは,海溝の内側に決められていたが,今回の改訂で震源が変更されている.従来の震源位置から推定すると,2006・2007年の地震の発生の順が異なり,海溝軸の外側から内側に震源が連動したdoublet earthquakeとみなせる.しかし,改定後は,11月8日の地震は,9月7日の地震の余震ということになるのかもしれない.このことについては,震源の位置について,更に検討が必要である.千島海溝沿いでの大規模地震の続発性を示しているものと考えられる.隣接地域のプレート境界型の大規模地震が3年程度以内に発生する事例は,1893年と1984年の1事例といえそうである.世界の地震からすると大規模地震に伴って,1割程度は,同程度の地震が1週間程度以内に発生することも知られており,注意しておくべきではあろうと思われる.
なお,ISCGEMv5のデータを利用して,1904年からの地震回数の積算をFig.2に示す.1980年代の10年程度,M7.75以上の大規模地震の発生が少なかった.M6.00以上の地震では,そのようには見えない.
なお,ISCGEMv5のデータを利用して,1904年からの地震回数の積算をFig.2に示す.1980年代の10年程度,M7.75以上の大規模地震の発生が少なかった.M6.00以上の地震では,そのようには見えない.