JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS14] 地殻変動

コンビーナ:落 唯史(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門)、加納 将行(東北大学理学研究科)

[SSS14-03] ALOS-2/PALSAR-2による2016年熊本地震の余効変動:電離層補正の適用

*橋本 学1 (1.京都大学防災研究所)

キーワード:熊本地震、余効変動、ALOS-2/PALSAR-2、電離層補正、InSAR

2016年熊本地震の余効変動を,2018年までのALOS-2/PALSAR-2データを用いて解析している.昨年2019年のJpGUにおいて初期の結果を報告した.いくつかの局所的な変動域とともに,震源断層浅部の余効すべりによると考えられる顕著な変動が捉えられた.しかしながら,SAR解析において電離層補正を行っておらず,そのため,隣接するパス間で視線距離変化に不連続が生じた.また,阿蘇カルデラ西縁に隆起傾向が見られたが,電離層擾乱による見かけの変動であることを否定できなかった.

今回,Wegnueller et al.(2018)による電離層補正手法を用いて,余効変動期の干渉画像を補正した.この結果,2つの北行軌道のスタックした干渉画像間に視線距離変化の不連続は見られなくなり,阿蘇カルデラ西縁に隆起が検出された.前回同様,日奈久断層に沿って,2018年4月までの平均で6 cm/年を超える西向きの変位が検出された.この西向き変位は,布田川断層と日奈久断層の交点から約20 km付近で突如終わることもわかった.熊本市内の局所的な変動は,2018年4月までの平均で約6 cm/年と見積もられる.さらに,布田川断層の北約10 kmの菊池市付近において,約5 cm/年の西向き変位を検出した.