JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS15] 地震発生の物理・断層のレオロジー

コンビーナ:吉田 圭佑(東北大学理学研究科附属地震噴火予知研究観測センター)、岡崎 啓史(海洋研究開発機構)、金木 俊也(京都大学防災研究所)、野田 博之(京都大学防災研究所)

[SSS15-P28] 2019年山形県沖の地震の初期破壊過程

*藤本 怜1小割 啓史1小松 正直1竹中 博士1 (1.岡山大学 大学院自然科学研究科)

キーワード:初期破壊過程、ソース・イメージング法、2019年山形県沖の地震

本研究の目的は、2019年6月18日22時22分に山形県沖で発生したMJMA 6.7の地震の発震後初期の破壊過程を推定することである。ソース・イメージング法 (Takenaka et al, 2009, EPS)を用い、発震から3.6秒以内における地震波の放射強度の時空間変化を可視化することで、破壊過程の推定を行った。解析には震央距離62 km以内の気象庁、山形県、新潟県の震度観測点、防災科学技術研究所のK-NET、KiK-net観測点の計15点で記録された加速度波形記録を積分した、速度波形の上下動成分のP波部分を使用した。震源は気象庁一元化震源 (北緯38.608 °, 東経139.479 °, 深さ14.0 km) を採用し、断層面は気象庁のCMT解の走向26 °、傾斜27 °の南東傾斜の面と、初動発震機構解の走向16 °、傾斜31 °の東南東傾斜の面の2種類を仮定した。
 発震後3.6秒間のイメージングの結果(Fig.1)、両断層面において、震源から走向方向北側4 km付近と10 km付近に比較的放射強度の大きな領域が見られた。さらに詳細な時間変化を調べるため、0.6秒幅で0.3秒ずつスライドしてイメージングした結果(Fig.2)、両断層面どちらにおいても、発震後およそ1.2~1.8秒で震源から走向方向北側4 km付近に放射強度が比較的大きな領域が見られた。その後時間の経過に伴い、放射強度の大きな領域は震源から北側に遠ざかるように推移し、発震後およそ3秒後に震源から10 km付近の比較的放射強度の大きな領域が見られた。これらの結果より、震源から広がった破壊が、発震後およそ1.2〜1.8秒で、震源から見て走向方向北側の領域で比較的大きなすべりを引き起こし、その後も同じ方向に進行した破壊は、発震からおよそ3秒後にも比較的大きなすべりを引き起こしたと推定される。これらの震源の北側で見られた放射強度が大きな領域の位置は、防災科学技術研究所による波形インバージョン解析の結果(http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/topics/Yamagataoki_20190618/inversion/index.html)の発震後1.5~3.0秒に見られる、震源北側でのすべりの大きな領域とも調和的である。

謝辞:防災科学技術研究所のK-NET、KiK-net及び気象庁、山形県、新潟県の強震観測データを使用しました。