[SSS17-P13] 各種マグニチュードの関係についいての再評価
キーワード:マグニチュード、モーメントマグニチュード(Mw)、気象庁マグニチュード(Mj)
Richter(1935) により地震の大きさを表す物差しとしてLocal Magnitude(ML)が提案されて以来、色々なMagnitude(mB, mb, Ms, Mj(気象庁変位M) and Mwなど) が提案され、各種の地震カタログに報告されてきた。これら回帰式によるMagnitudeとは別に、Kanamori(1977) はMoment Magnitude(Mw)を提案、地震の震源パラメターに基づく物理的な意味づけが明確なことから広く使われるようになり、各種の地震カタログに記載されている。Mwと経験式を用いた各種のMagnitudeとの関係は、Kanamori(1983)やUtsu(1999)などによりよく調べられている。
しかし各種のMagnitudeは、長い年月の間に、用いる地震計の変化、アナログからデジタル記録へなど検測の作業の変化、観測網の変化の影響を被り、地震の規模を示す物差しとして不変ではないことは、Borman and Dewey(2014)などにより吟味が行われている。これらMagnitude相互の関係を時々改めて評価してみることは、地震カタログの内容が均一であるかどうかを評価する上で意味があることと考えられる。
今回はBulletin of the International Seismological Centre(ISC)に記載されている各種Magnitudeの関係について、最近の約20年間の主として日本周辺で発生した地震について調査を行った。その結果明らかになったことの一つは、各種の機関(ISC, NEIC, JMA, NIEDなど)が報告しているMw,Mww(WphaseによるMw)が相互によい一致を示すことであり、Mwが普遍的な安定した地震の規模を表す物差しであることが、理解できる。各種のMagnitudeとMwの関係は、ほぼUtsu(1999)により示された結果と同様であった。しかし気象庁Mjについては、バラツキは大きいもののMw4.0~7.0の範囲では良い一致を示しており、他のMagnitudeよりMwに対する偏りが少ないことが明らかになった。これは偶然とも考えられるが、Mjを求める際に用いられる中周期(0.5~5秒)の地震波の振幅が、Mw4.0~7.0の地震の大きさを良く表しているためと考えられる。このことはMwが求められていない過去の地震のMwを、気象庁地震カタログのMjで代用することも可能であることを示している。
参考文献
Richter C. F.(1935) An instrumental earthquake magnitude scale, Bull. Seis. Soc. Am. ,25,No.1,1-31.
Kanamori H.(1977)The Energy Release in Great Earthquakes, J. Geophys. Res.82,No20,2981-2987.
Kanamori H.(1983) Magnitude scale and quantification of earthquakes, Tectonophysics, 93, 185- 199.
Utsu, T., 1999, Representation and analysis of the earthquake size distribution: A historical review and some new approaches, Pure Appl. Geophys.,155, 509-535.
Borman P. and Dewey J.W.(2014)The new IASPEI standards for determining magnitudes from digital data and their relation to classical magnitudes, Information Sheets 3.3, New Manual of Seismological Observatory Practice 2 (NMSOP2), G.F.Z.
坪井忠二(1954): 地震動の最大振幅から地震の規模Mを定めることについて, 地震2, 7, 185~193.
勝間田明男(2004): 気象庁変位マグニチュードの改訂, 験震時報, 67, 1~10.
しかし各種のMagnitudeは、長い年月の間に、用いる地震計の変化、アナログからデジタル記録へなど検測の作業の変化、観測網の変化の影響を被り、地震の規模を示す物差しとして不変ではないことは、Borman and Dewey(2014)などにより吟味が行われている。これらMagnitude相互の関係を時々改めて評価してみることは、地震カタログの内容が均一であるかどうかを評価する上で意味があることと考えられる。
今回はBulletin of the International Seismological Centre(ISC)に記載されている各種Magnitudeの関係について、最近の約20年間の主として日本周辺で発生した地震について調査を行った。その結果明らかになったことの一つは、各種の機関(ISC, NEIC, JMA, NIEDなど)が報告しているMw,Mww(WphaseによるMw)が相互によい一致を示すことであり、Mwが普遍的な安定した地震の規模を表す物差しであることが、理解できる。各種のMagnitudeとMwの関係は、ほぼUtsu(1999)により示された結果と同様であった。しかし気象庁Mjについては、バラツキは大きいもののMw4.0~7.0の範囲では良い一致を示しており、他のMagnitudeよりMwに対する偏りが少ないことが明らかになった。これは偶然とも考えられるが、Mjを求める際に用いられる中周期(0.5~5秒)の地震波の振幅が、Mw4.0~7.0の地震の大きさを良く表しているためと考えられる。このことはMwが求められていない過去の地震のMwを、気象庁地震カタログのMjで代用することも可能であることを示している。
参考文献
Richter C. F.(1935) An instrumental earthquake magnitude scale, Bull. Seis. Soc. Am. ,25,No.1,1-31.
Kanamori H.(1977)The Energy Release in Great Earthquakes, J. Geophys. Res.82,No20,2981-2987.
Kanamori H.(1983) Magnitude scale and quantification of earthquakes, Tectonophysics, 93, 185- 199.
Utsu, T., 1999, Representation and analysis of the earthquake size distribution: A historical review and some new approaches, Pure Appl. Geophys.,155, 509-535.
Borman P. and Dewey J.W.(2014)The new IASPEI standards for determining magnitudes from digital data and their relation to classical magnitudes, Information Sheets 3.3, New Manual of Seismological Observatory Practice 2 (NMSOP2), G.F.Z.
坪井忠二(1954): 地震動の最大振幅から地震の規模Mを定めることについて, 地震2, 7, 185~193.
勝間田明男(2004): 気象庁変位マグニチュードの改訂, 験震時報, 67, 1~10.