JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC45] 活動的火山

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、西村 太志(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

[SVC45-P08] 草津白根山湯釜火口付近の火山活動プロセスのイメージ

*高木 朗充1小林 宰1北川 隆洋1高橋 幸祐1加藤 幸司1宮村 淳一1 (1.気象庁地震火山部)

キーワード:草津白根山、湯釜火口、水蒸気噴火、流体貯留槽

草津白根山の湯釜火口周辺では、2014年以降、地震活動、地殻変動等に変化が現れ、活動が高まっている。2018年には本白根山で規模の小さい水蒸気噴火が発生したが、湯釜火口からの噴火には至っておらず、1983年の噴火後は噴火が観測されていない。

湯釜火口では、1970年頃から様々な手法による観測が行われている。中長期的な活動評価の視点も含め、これまでに得られた地球化学及び地球物理学の両面での観測結果、既往研究を収集・整理して、過去数十年間の火山活動について多角的に検討を行った。

まず、各観測で捕らえられた現象の発生源について検討した。GNSSや光波測距で求められた圧力源(高木・他, 2018)や、全磁力観測で求められた消磁源・帯磁源(Takahashi et al., 2014)、及び火山性地震の震源の大部分は、湯釜火口の北東側の領域に位置した。一方、震源は標高1000m前後に位置するが、圧力源、消磁源・帯磁源はそれよりも浅い場所に位置することがわかった。Nurhasan et al. (2006) は、この標高1000mより浅い領域に低比抵抗層が存在することを示し、この層の下に流体貯留槽が存在する可能性を提案した。

また、現象の発現の時間の観点からは、地震活動や地殻変動はほぼ同期して発生する。その後、地震活動が高い状態が数ヶ月継続するが、Ohba et al. (2008)等を参照すると、化学成分の濃度が高い状態は、それよりも長く継続する。

これらの観測成果および各種現象の時空間的関係に基づき、湯釜火口直下浅部で繰り返されている活動プロセスについて、流体貯留槽(平林、2000)への火山性流体の流入・流出の視点から概念モデルを構築し、火山活動をどのように監視評価すべきかについて考察する。