日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS05] 大気化学

2021年6月6日(日) 09:00 〜 10:30 Ch.08 (Zoom会場08)

コンビーナ:中山 智喜(長崎大学 大学院水産・環境科学総合研究科)、齋藤 尚子(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、豊田 栄(東京工業大学物質理工学院)、内田 里沙(一般財団法人 日本自動車研究所)、座長:内田 里沙(一般財団法人 日本自動車研究所)、佐藤 圭(国立研究開発法人国立環境研究所)

09:45 〜 10:00

[AAS05-03] A new method for quantifying sodium sulfate, sodium nitrate, and sodium chloride aerosols

*小林 優也1、竹川 暢之1 (1.東京都立大学 大学院理学研究科)


キーワード:海塩粒子、オンライン測定、分離定量

海塩由来のエアロゾルは海洋上に多く存在し、地球の放射収支に大きな影響を与える。沿岸部において、多くの塩化ナトリウム (NaCl) 粒子は都市部より放出された硫酸や硝酸と反応し、硫酸ナトリウム (Na2SO4) と硝酸ナトリウム (NaNO3) に変化していく可能性がある。この時間変化をより理解するため、現地でNaCl, Na2SO4, NaNO3粒子を連続的に測定する必要がある。しかし現状では、これらのエアロゾルを高時間分解能で定量する方法は存在しない。私たちは、揮発性硫酸塩と難揮発性硫酸塩を定量するため新たな装置 (refractory aerosol thermal desorption mass spectrometer; rTDMS) を開発した。特徴はグラファイトの粒子捕集部とCO2レーザーの組み合わせにより高い脱離温度 (放射温度 > 1200 K) が実現したことである。脱離した粒子成分は四重極型質量分析計 (QMS) により検出される。本研究の目的は、rTDMSのレーザー出力を最適化することによりNaCl, Na2SO4, NaNO3粒子の質量濃度を定量する方法を開発することである。装置の性能評価は実験室内で行った。レーザー照射に伴うm/z 23 (Na+), 30 (NO+), 36 (HCl+), 48 (SO+)のイオン信号の時間変化を測定した。結果としてNaCl, Na2SO4, NaNO3粒子由来のイオン信号は3つのピークを示した。検出下限、線形性、実大気測定における干渉要因などを議論する。