日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG29] 中緯度大気海洋相互作用

2021年6月4日(金) 17:15 〜 18:30 Ch.10

コンビーナ:遠山 勝也(気象庁気象研究所)、釜江 陽一(筑波大学生命環境系)、木戸 晶一郎(海洋開発研究機構 付加価値創生部門 アプリケーションラボ)、関澤 偲温(東京大学先端科学技術研究センター)

17:15 〜 18:30

[ACG29-P04] アリューシャン-アイスランド低気圧と関連する中高緯度直接循環の年々変動

*倉持 将也1、植田 宏昭2 (1.筑波大学理工情報生命学術院、2.筑波大学生命環境系)

キーワード:中高緯度直接循環、アリューシャン-アイスランド低気圧、ENSO

温位面での質量重み付け帯状平均(MIM)はラグランジュ的に全球の子午面循環を表現し、変換オイラー法(TEM)に比べて地表付近の境界条件を正確に表すことが可能である。MIM系の子午面循環に現れる中高緯度直接循環(ETD循環)は、同系で定義されるEliassen–Palm(E-P)フラックスの発散によって駆動される。本研究は波動平均流相互作用を表現するE-Pフラックスに着目して、ETD循環の年々変動に対応する空間場の変動について調査した。ETD循環の強化は、アリューシャン低気圧(AL)の強化・アイスランド低気圧(IL)の弱化と非常に密接であることが示された(逆もまた同様)。ETD循環が強いときは、ALとILが互いに逆の変動を示しながらも、上向きの波活動度フラックスは北太平洋東部と北大西洋の両方で強まることが確認された。この上向きフラックスの増加は、AL・IL領域の循環の変調に伴う惑星波による南北熱輸送の強化と対応する。これらの結果は、ETD循環の年々変動が、惑星波の変調を伴ったALとILの共変動によって説明できることを示す。さらに、E-Pフラックスの変調に伴う物理過程は、エルニーニョ南方振動(ENSO)に関連する熱帯–中高緯度の相互関係の観点から議論する。