日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS14] 沿岸域における混合,渦,内部波に関わる諸現象

2021年6月5日(土) 17:15 〜 18:30 Ch.06

コンビーナ:堤 英輔(東京大学大気海洋研究所)、増永 英治(Ibaraki University)、永井 平(東京大学理学系研究科)

17:15 〜 18:30

[AOS14-P03] 有明海におけるM2潮の潮位振幅と湾共鳴およびエネルギー散逸の1980–2019年間の年変動

*堤 英輔1、松野 健2、伊藤 幸彦1 (1.東京大学大気海洋研究所、2.九州大学応用力学研究所)

キーワード:潮汐の長期変化、有明海、海底摩擦抵抗、潮汐エネルギー散逸

2000年以降、有明海とその周辺においてM2潮位振幅の長期的な減少が報告されてきた。本研究では、これまで有明海の潮汐研究では陽に考慮されていなかった海底摩擦の効果を取り入れた湾共鳴モデルを用い、1980年から2019年までの潮位観測データ解析を行った。過去50年間では、有明海の大浦とその外部に位置する長崎における潮位振幅は約11%/100年の割合で減少していた。湾共鳴モデルによる解析からは、線形摩擦係数が10%/100年の割合で減少したことが示されたが、このことは二乗摩擦抵抗係数が不変であれば有明海の平均的なM2潮流振幅も同じ割合で減少したことを示唆する。また、月の昇交点緯度の18.61年周期変動に伴うM2潮の振幅変調が極大期となる1997年と2015年で比較した場合、M2潮のエネルギー散逸率は2015年には約11%減少していた。このような潮汐の変化の原因としては、湾内の摩擦共鳴特性の変化と外部から進入するM2潮汐の変化が考えられた。