日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS17] 海洋化学・生物学

2021年6月4日(金) 15:30 〜 17:00 Ch.11 (Zoom会場11)

コンビーナ:三角 和弘(電力中央研究所 環境科学研究所)、安中 さやか(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、座長:三角 和弘(電力中央研究所 環境科学研究所)、安中 さやか(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)

16:00 〜 16:15

[AOS17-03] 海洋モデルの水平解像度の向上による北太平洋の海洋生物地球化学シミュレーションの改善

*辻野 博之1、遠山 勝也1、中野 英之1、西川 史朗2、杉山 徹2、西川 悠2、石川 洋一2 (1.気象庁気象研究所、2.海洋研究開発機構)

キーワード:海洋生物地球化学モデル、海洋炭素循環

気象庁気象研究所が一連のCMIP6実験に使用した地球システムモデルには、格子幅サイズ約100 kmの低解像度の海洋コンポーネントが採用されている。将来の予測実験でより高い海洋モデル解像度を使用する可能性を考慮して、CMIP6に使用された全球海洋モデルに10 km解像度の北太平洋モデルを埋め込み、OMIPの実験規定に従って海洋生物地球化学シミュレーションを実施して全体的なパフォーマンスを評価した。高解像度と低解像度シミュレーションを比較することにより、水平解像度の向上による北太平洋の生物地球化学場の変化を調べた。北太平洋におけるモデルの水平解像度の向上は、全球海洋で積分した表面二酸化炭素フラックス収支に大きな影響は与えないが、海洋内部の溶存無機炭素と海面フラックスの局所的分布に改善をもたらした。具体的には、観測から推測されるように、より多くの人為的炭素が黒潮再循環域に蓄積され、亜寒帯および東部熱帯沿岸域では、年平均表面二酸化炭素フラックスにおける大気へのガス放出の不足が改善される。亜熱帯では、おそらく中規模渦が存在するため一次生産性が向上した。これらの改善のほとんどは、物理的場の改善によってもたらされている。本評価は、今後の北太平洋の海洋生物地球化学的場の将来変化を対象とした予測実験における高解像度モデルの活用を動機付けるものといえる。