日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS19] 海洋物理学一般

2021年6月5日(土) 10:45 〜 12:15 Ch.10 (Zoom会場10)

コンビーナ:川合 義美(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境部門 海洋観測研究センター)、北出 裕二郎(東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科)、座長:川合 義美(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境部門 海洋観測研究センター)

10:45 〜 11:00

[AOS19-01] Frontal waves in the east of the Tsugaru Strait revealed by the high-frequency radar observation

*金子 仁1、田中 雄大2、阿部 泰人1,3、脇田 昌英1、佐々木 健一1、長谷川 大介2、奥西 武2、渡邉 修一1、畳指 祥子1、佐藤 喜曉1 (1.海洋研究開発機構、2.水産研究・教育機構、3.北海道大学 大学院水産科学研究院 大学院水産科学院 水産学部)

キーワード:津軽海峡、津軽暖流、海洋短波レーダー、前線波動

津軽海峡東部における 2017–2019 年の海洋短波レーダーを用いた表層流速観測により、海峡東部で津軽暖流の強流前線に沿って、前線波動が頻繁に生じていることが明らかになった。流軸(任意の経度における東西流速の南北分布で最大となる緯度で定義)の南北方向の変動は約 14日の周期を有しており、その倍の周期 (~27日) にもピークが見られた。この周期 (〜14日) は津軽海峡で卓越する潮汐変動の周期と一致していた。南北変動の振幅は 141°E 付近から下流に向かって増大する傾向が見られた。観測された擾乱は海峡東部を太平洋入口まで (約100km) 進むのに1週間から 10日程度を要した。この時間スケールは表層流の移流による時間スケールよりも遥かに長かった。そこで、海峡を横断する繰り返し観測によって得られた 3年分の CTD および 船底 ADCP データから傾圧不安定の位相速度について検証したところ、成層の弱まる冬季を除いて、2層モデルの傾圧不安定の位相速度とよく一致することが示された。本研究によって示された海峡出口での流軸の南北変動は夏季に発達する津軽暖流ジャイアーモードの短期変動(20日から 1ヶ月程度)に影響している可能性がある。加えて、このような不安定発達に伴う前線を横切る水塊交換は、水塊混合、変質を通じ、海峡内で近年示されている高速酸性化などにも影響しているかもしれない。