日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-CG 地球生命科学複合領域・一般

[B-CG04] 地球史解読:冥王代から現代まで

2021年6月4日(金) 17:15 〜 18:30 Ch.18

コンビーナ:小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、加藤 泰浩(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源センター)、中村 謙太郎(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻)

17:15 〜 18:30

[BCG04-P14] 新潟県北蒲原地域における鮮新統鍬江層の古環境

*中村 彰男1、山田 桂2 (1.信州大学大学院総合理工学研究科、2.信州大学理学部地球学コース)


キーワード:古環境、新潟県、鮮新統鍬江層、貝形虫

新第三紀鮮新世は, 中期鮮新世温暖期(MPWP)や北半球の氷河拡大(NHG)などの汎世界的気候変動が起こっていたことが知られている. これらの時期(3.5~2.7 Ma)の日本海は, 津軽海峡を通じて太平洋から冷水が浸入し, 一方で南の対馬海峡は現在よりも浅くわずかに暖流が流入し, 現在とは大きく異なった海洋環境であったと考えられている(Itaki, 2016). 当時の日本海は, 2.75 MaのNHGに伴う寒冷化が見いだされている(例えば, Sato et al., 2002)ものの, 徐々に明確になっていった氷期―間氷期サイクルに対応して, 日本海の海洋環境がどのように変化したのかについて不明な点が多い. 新潟県胎内市胎内川右岸の夏井セクションは3.5~2.6 Maの鍬江層がほぼ連続して見られており, 複数の微化石や堆積物の化学組成分析により氷期―間氷期サイクルに対応する当時の日本海の古環境が復元されている(三輪ほか, 2004;Yamada et al., 2005;Irizuki et al., 2007など). しかし, 鍬江層の広がりは検討されておらず, 1ルートで得られた古環境のみに基づいて日本海の海洋変動を議論している. そこで本研究では, 夏井セクション周辺において地層の分布を明らかにし, 貝形虫化石群集を用いて同域の古環境の時空分布を検討し, 日本海の古海洋環境を氷期―間氷期スケールで復元することを目的とする.
胎内川を含む南北7 km, 東西4 kmの範囲を調査地域とした. 調査地域には下位より内須川層, 鍬江層, 下寺内層が分布し, 鍬江層は調査地域北東~南西方向にかけて帯状に分布していた. 本地域の鍬江層はほとんどの層準で貝殻片を含んでおり, 岩相に基づくと3分される(ユニットⅰ;塊状泥岩, ユニットⅱ;生物擾乱泥岩, ユニットⅲ;泥岩優勢砂岩泥岩互層).これらはいずれも外側陸棚を示し, 岩相の違いは水深の違いを反映していると推察された. 調査地域の胎内川左岸ルートから35試料, 坂井ルートから5試料, 夏井ルートから14試料を採取し, 貝形虫化石群集を検討した. 結果として少なくても58属130種の貝形虫化石が産出した. 最も優占するタクサはAcanthocythereis dunelmensis s.l., Robertsonites tabukii, Krithe spp.であり, これらは陸棚から陸棚斜面にかけての水深150 m以深の環境を示唆することから, 当時の鍬江層は総じて陸棚の環境下で堆積したと推察される. 岩相と貝形虫化石群集から, 本調査地域の鍬江層堆積時は現在の日本海中層―固有水のような環境下で堆積し, 少なくとも2回の古水深変動のサイクルが見られた. また, 調査地域南西部から中心部にかけて比較的温暖な水塊が存在していた時期があったことが明らかになった.