日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI34] 情報地球惑星科学と大量データ処理情報

2021年6月3日(木) 10:45 〜 12:15 Ch.03 (Zoom会場03)

コンビーナ:村田 健史(情報通信研究機構)、野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、本田 理恵(高知大学自然科学系理工学部門)、深沢 圭一郎(京都大学学術情報メディアセンター)、座長:野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、本田 理恵(高知大学自然科学系理工学部門)

11:05 〜 11:20

[MGI34-08] 3次元地理情報システムを核とした不規則形状小天体探査データ解析環境の開発

*平田 成1,2、古舘 拓真1、菊地 紘3、出村 裕英1,2、佐藤 広幸3、松本 晃治4、中里 直人1、河野 郁也1 (1.会津大学 コンピュータ理工学部、2.会津大学 宇宙情報科学研究センター、3.宇宙航空研究開発機構、4.国立天文台RISE月惑星探査プロジェクト)

キーワード:小惑星、地理情報システム、画像データベース、重力場、GPGPU

地理情報システム(GIS)は地理情報・地図情報の処理と可視化を行う強力なツールである.月惑星探査の分野でもGISは広く普及している.しかし,不規則形状を持った小天体の探査データには,緯度経度による地理座標表現を基盤としたGISは適用できない.そこで,我々は天体形状を三次元ポリゴンモデルで表現し,ポリゴンに割り振られたIDを地理座標の代わりに用いることで不規則形状天体の地理情報・地図情報を取扱可能とする三次元地理情報システム(3D-GIS)を提案した.このシステムでは,天体形状とその表面上の地理情報・地図情報は3D-CGの形で可視化することができる.このコンセプトに基づいて会津大学宇宙情報科学研究センター(ARC-Space)が主導して開発された小惑星向け3D-GISがAiGISである.
このAiGISを中心として,不規則形状を持った小天体の探査データの解析環境構築のための構成要素となるツール,システムを開発している.その一つである画素データベース(画素DB)は,探査機が取得した画像から取り出した画素単位の情報(画素値や観測条件)を個別エントリとして蓄積するため,複数の画像を横断するような解析が可能となる.例えば,広範囲の観測条件で撮影された,小惑星状の特定の一地点の光散乱特性の解析を行うことができる.このような解析の結果もまた,3D-GISで可視化することができる.また,小天体の表面や周辺の重力場構造も重要な情報であるが,一般に不規則形状天体の重力場は計算量が大きくなる傾向にある.このため,GPUを用いたGPGPUにより,重力場計算を高速に行うコードの開発も進めている.本発表では,AiGISの現状と,画素DBとGPUによる重力場計算コードの開発状況,そして小天体探査データの解析環境の将来展望について報告する.