日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS05] 南大洋・南極氷床が駆動する全球気候変動

2021年6月6日(日) 13:45 〜 15:15 Ch.11 (Zoom会場11)

コンビーナ:関 宰(北海道大学低温科学研究所)、野木 義史(国立極地研究所)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、菅沼 悠介(国立極地研究所)、座長:松井 浩紀(秋田大学大学院 国際資源学研究科)、石輪 健樹(国立極地研究所)

15:00 〜 15:15

[MIS05-11] 最終退氷期における海洋炭素循環モデリング

*小林 英貴1、岡 顕1、小長谷 貴志1、阿部 彩子1 (1.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:海洋炭素循環、最終間氷期、大西洋子午面循環、南大洋

氷床コアの記録から、氷期-間氷期サイクルにおいて、大気中二酸化炭素濃度は約 100 ppm の振幅で変動していたことが明らかになっている。未だ完全に理解されているわけではないが、これまでに大気中二酸化炭素濃度の変動に寄与するメカニズムが提示され、その変動は主に海洋炭素循環の変動(海面水温、表層の生物ポンプ、海洋深層循環、炭酸塩無機化学の変動など)に起因すると認識されている。筆者らの研究を含む近年の研究は、特に南大洋の変動が海洋全体の炭素循環の変動に重要であることを指摘している。その一方で、これらの帰結は主に平衡気候下における炭素循環の比較から導かれたもので、より現実的には、気候の時間変化の中で生じる炭素循環の過渡応答のメカニズムを最終的に明らかにする必要がある。本研究は、複雑な大気海洋結合モデルにより最終退氷期のベーリング・アレレード期における海洋深層循環と地上気温の変化をよく再現した我々のモデル研究の結果を用いて、2万1千年前から1万1千年前にかけての最終退氷期における海洋炭素循環の数値実験を行い、その過渡応答を調べた。本発表では、数値実験の初期段階の結果を報告する。特に、ベーリング・アレレード期における、大西洋子午面循環の急激な変化に対する海洋炭素循環の応答を詳しく報告する予定である。