日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS21] 化学合成生態系と泥火山:流体噴出の生物・化学・物理プロセス

2021年6月3日(木) 17:15 〜 18:30 Ch.17

コンビーナ:宮嶋 佑典(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門 地圏微生物研究グループ)、渡部 裕美(海洋研究開発機構)、井尻 暁(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、土岐 知弘(琉球大学理学部)

17:15 〜 18:30

[MIS21-P06] 海洋科学の10年と深海研究

*渡部 裕美1、Howell Kerry2 (1.海洋研究開発機構、2.University of Plymouth)

キーワード:海洋科学の10年、チャレンジャー150プログラム

深海は地球の生態系の多くを占めているにも関わらず、調査研究が困難であることから地球生態系の最後のフロンティアであると考えられている。また、深海生態系は均質ではなく、化学合成一次生産が優占する深海熱水噴出域や特殊な生態系が分布する海溝域など多様である。したがって深海生態系の理解には、生物そのものの分布だけでなく、それを取り巻く環境の観測や生物活動を推測するためのパラメタ―の測定など、多様なアプローチが必要とされている。この講演では、海洋科学の10年に併せて深海生態系についての理解を深めるために立ち上げられたChallenger 150 programをはじめとするプロジェクトについて紹介し、日本国内およびアジア圏における今後の取り組みについて議論したい。
Challenger 150 programは、主にDeep-Ocean Stewardship Initiative (DOSI)のDecade working group、SCORのWG-159, イギリスのChallenger SocietyのDeep-Sea Special Interest Working Groupによって構成され、深海生態系の多様性、集団間の連結性、機能性、頑強性を地球規模で明らかにすることを通じて、国連が掲げる持続可能な開発目標に対して科学的な側面から貢献することを目指すものである。今後、海洋地理区分や特定の環境ごと(例えば、化学合成生態系、海山、海溝など)に委員会を設置し、上記の目的を完遂するための活動を世界規模で進めていく予定である。多くのみなさまからのご意見・ご協力をお願いします。
参考文献

Howell et al. 2020 A Blueprint for an Inclusive, Global Deep-Sea Ocean Decade Field Program. Front. Mar. Sci., 25 November 2020 | https://doi.org/10.3389/fmars.2020.584861; Howell et al. 2020. A Decade to Study Deep-Sea Life. Nature Ecology & Evolution. https://doi.org/10.1038/s41559-020-01352-5