日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT43] インフラサウンド及び関連波動が繋ぐ多圏融合地球物理学の新描像

2021年6月6日(日) 17:15 〜 18:30 Ch.20

コンビーナ:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)、乙津 孝之(一般財団法人 日本気象協会)、市原 美恵(東京大学地震研究所)、新井 伸夫(名古屋大学減災連携研究センター)

17:15 〜 18:30

[MTT43-P01] 東方や西方に位置する鉱山での発破によるインフラサウンド

*野上 麻美1、乙津 孝之1、岩國 真紀子1 (1.一般財団法人 日本気象協会)

キーワード:インフラサウンド、鉱山発破、包括的核実験禁止条約

ロシアのシベリア南西部に多くの鉱山が存在し、鉱物の表土化や採掘のために爆薬を使用した発破が行われている。発破の際にはその爆薬の威力に応じた衝撃波が発生し、高温・高圧ガスの膨張を伴う。爆薬の設置場所が地中にあっても、爆破とともに粉砕物や圧力波が大気中に噴出すると、インフラサウンドとなって観測されることがある。既知である鉱山の場合には、観測所までの距離が分かっているため、気象状況にもよるが伝播時間を見積もることが可能である。さらに地中を伝播した地震波が地震観測所で複数捉えられている場合には、震源位置と発生時刻が求まり、インフラサウンドデータより解析された到来方向と観測時刻を踏まえて音源の発生場所を断定することも可能である。

CTBTによって整備されたインフラサウンドの観測所であるI46RU(ザレソヴォ、ロシア)では、鉱物の採掘作業に伴う発破によって発生したインフラサウンドを頻繁に観測している。I46RUの周囲1,000km以内には多数の採掘中の鉱山が存在し、同時間帯に東からも西からも発破によるインフラサウンドを観測することがある。観測データの特徴としては、1Hz~4Hzの間に卓越周波数があり、継続時間は10秒程度である。採掘の作業時間は日中の時間に集中しているため、地表面から数km高度の間に逆断層を形成している影響により地表面付近をおおよそ直進するような伝播速度のシグナルが多く観測され、その後対流圏界面高度や成層圏界面高度にて折り返して伝播してきたと思われる伝播速度のシグナルが観測されることがある。

本発表においては、東西の音源から伝播した場合のシグナルの特徴について、その季節的な大気状況の違いも踏まえて考察したいと考えている。