日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG17] 宇宙・惑星探査の将来計画および関連する機器開発の展望

2021年6月4日(金) 17:15 〜 18:30 Ch.06

コンビーナ:小川 和律(宇宙航空研究開発機構)、尾崎 光紀(金沢大学理工研究域電子情報学系)、坂谷 尚哉(立教大学 理学部 物理学科)、吉岡 和夫(東京大学大学院新領域創成科学研究科)

17:15 〜 18:30

[PCG17-P03] 太陽系探査を目指した小型イオントラップフーリエ変換型質量分析器の開発

*川島 桜也1、笠原 慧1、斎藤 義文2、横田 勝一郎3、平原 聖文4、杉田 精司1 (1.東京大学、2.ISAS/JAXA、3.大阪大学、4.名古屋大学)

キーワード:質量分析器

近年の太陽系天体探査では,探査機搭載用に開発された質量分析器が重要な役割を果たしている.例えばRosettaミッションでは,セクター磁場を用いた高分解能な質量分析器(DFMS,質量分解能m/Δm ~ 10,000)が採用されており,その観測結果は木星族彗星の化学組成・同位体組成についての理解を大きく推し進めた(e.g. Altwegg et al. 2015).このように同位体的知見から太陽系天体の進化にアプローチできる高分解能質量分析器の重要性は広く知られるところであるが,過去に探査機搭載実績のある高分解能質量分析器は大型(一辺が1m程度)であり,リソースの問題から搭載機会が制限されている.そこで本研究では,将来ミッションにおける質量分析の機会を増やすことを目的とし,高質量分解能(m/Δm > 10,000)を手のひらサイズで実現することを考えた.手法としては,近年室内実験で用いられるようになってきたイオントラップフーリエ変換型質量分析の原理(OrbitrapTM)を採用し,そのイオン光学系を再設計した後に,原理実証試験に取り組むというものである.私たちはすでに数値計算による設計を終えて,実験室ベースで装置の原理実証試験に取り組んでいる.特に現在,装置の感度および消費電力に直結する部分であるイオン共振型ストレージデバイスについて改良を重ねている.今回の発表では,これらのテストモデル試験の内容について詳しく説明する.