日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM11] Coupling Processes in the Atmosphere-Ionosphere System

2021年6月4日(金) 17:15 〜 18:30 Ch.04

コンビーナ:Liu Huixin(九州大学理学研究院地球惑星科学専攻 九州大学宙空環境研究センター)、Chang Loren(Institute of Space Science, National Central University)、大塚 雄一(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、Yue Deng(University of Texas at Arlington)

17:15 〜 18:30

[PEM11-P02] GPS 電波掩蔽観測を用いた東北沖地震に伴う津波による電離圏擾乱の高度分布解析

*伏見 亮祐1、中田 裕之2、大矢 浩代2 (1.千葉大学大学院融合理工学府、2.千葉大学大学院工学研究院)

キーワード:電離圏擾乱、掩蔽観測

大規模な地震の発生後に電離圏擾乱が発生することが報告されている。これは、地面変動や 津波により生じた音波や大気重力波が電離圏高度まで伝搬するためである。地震発生後の 電離圏変動の水平方向の伝搬特性は、TEC 観測などを用いて明らかにされつつあるが、鉛 直方向の伝搬を捉えた例は少ない。さらに、津波に伴う電離圏擾乱の鉛直方向伝搬の解析例 も少ないことから、本研究では東北沖地震により発生した津波に伴う電離圏擾乱の高度方 向の変化について解析を行った。用いたデータは、CDAAC(COSMIC Data Analysis and Archive Center)により提供されている FORMOSAT-3/COSMIC 衛星による GPS 電波掩蔽観測で得ら れる電子密度の高度プロファイルデータである。
解析対象とした事例は 2011 年 3 月 11 日 5 時 46 分 18 秒(協定世界時)に東北沖で発生した M9.0 の東北地方太平洋沖地震による津波 である。津波第 1 波到達後 3 時間以内に取得されたデータを抽出し、チャップマンモデル を用いてフィッティングを行い、観測データから変動成分の抽出を行った。解析の結果、震 央から北東方向の地点で観測されたデータにおいて、波長 10~30km 程度の波長の短い変動 が確認された。一方、震央から南東方向の地点で観測されたデータにおいては、そのような 短波長の変動は見られなかった。さらに、津波第 1 波到達から約 8 時間経過したデータに ついても調べたところ、震央から北東方向の地点で観測されたデータにおいて短波長の変 動が見られ、電離圏擾乱が長時間にわたって続いていたことがわかった。ここで、米国海洋 大気庁(NOAA)が提供している DART 方式のブイ式海底津波計のデータにおいて、津波第 1 波通過後も長時間にわたって海面変動が続いていたことが示されており、これが今回の解 析において電離圏擾乱が長時間にわたって現れていたことと関連している可能性がある。