日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS06] 惑星科学

2021年6月3日(木) 15:30 〜 17:00 Ch.04 (Zoom会場04)

コンビーナ:仲内 悠祐(宇宙航空研究開発機構)、菊地 紘(宇宙航空研究開発機構)、座長:菊地 紘(宇宙航空研究開発機構)、仲内 悠祐(宇宙航空研究開発機構)

15:45 〜 16:00

[PPS06-08] 周惑星円盤の赤外線・電波観測のモデル計算:衛星形成の条件

*胡 博超1、野村 英子2 (1.東京工業大学/国立天文台、2.国立天文台)

キーワード:周惑星円盤、輻射輸送計算、赤外線観測、電波観測

衛星は周惑星円盤から形成されたと考えられている。周惑星円盤中の衛星形成に関する様々な理論的モデルがあるが、周惑星円盤の物理状態に対する観測的制限はほとんどついていない。ここで、木星衛星の氷・岩石比は非一様であることが知られている。周惑星円盤内の水のスノーライン内側の高温領域では、氷は気化して、主に岩石が衛星の材料物質になる。したがって、衛星の形成条件を考える上で、周惑星円盤の物理状態、特に温度状態を調べることは重要である。近年、高解像度の ALMA 望遠鏡などを使って、たくさんの若い星の周りにある原始惑星系円盤の詳細構造が観測されている。さらに、周惑星円盤に似たような構造も発見された。また、2021 年に打ち上げ予定の赤外線宇宙望遠鏡 JWSTにより、さらに多くの周惑星円盤が検出されると期待されている。
本研究では、モデル計算とこれらの観測を比較することによって、周惑星円盤の温度状態を調べる方法を確立する。これまでの研究では ALMA 観測を想定して、乱流粘性降着円盤(Zhu et al. 2018)と照射加熱円盤(Rab et al.2019)のミリ・サブミリ波のダスト・ガス放射強度が予測されてきた。本研究では JWST 観測に向けて、まず粘性加熱が良く効く周惑星円盤を仮定し、降着率や粘性係数などの物理量を変えて、赤外線・電波放射強度がどのように変化するかを調べた。その結果、JWST によるダスト連続波の観測で、周惑星円盤を比較的容易に検出できる可能性が示された。さらに、化学反応計算を行い、様々なガス輝線の赤外線・電波放射強度が円盤物理量にどのように依存するかも調べた。その結果、比較的明るい円盤であれば、赤外線で検出可能であることが示された。一方で、ガス輝線の電波放射強度は弱く、既存の望遠鏡を用いて現実的な積分時間で輝線を検出するには、円盤が非常に明るい必要がある。