日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG44] 黒潮大蛇行

2022年6月3日(金) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (13) (Ch.13)

コンビーナ:西川 はつみ(東京大学 大気海洋研究所)、コンビーナ:平田 英隆(立正大学)、碓氷 典久(気象研究所)、コンビーナ:日下 彰(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産資源研究所 )、座長:日下 彰(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産資源研究所)、西川 はつみ(東京大学 大気海洋研究所)

11:00 〜 13:00

[ACG44-P01] 黒潮大蛇行に伴う海況変化と漁業への影響

★招待講演

*瀬藤 聡1日下 彰1 (1.国立研究開発法人水産研究・教育機構)

キーワード:黒潮、漁業

黒潮大蛇行が発生すると、沿岸域を含む周辺海域の海況が変化し、その変化は漁業にも影響を及ぼすことがある。本発表は過去知見と最新の知見に基づいて、その事例を紹介するものである。まず水温変化によって漁場形成が変化した事例を示す。黒潮が大蛇行し遠州灘沖で離岸すると、遠州灘、熊野灘海域は、黒潮分岐流または黒潮内側反流によって高温化する。その結果、その海域の海藻類は高水温に晒されて生育不良となるが、カツオなどの暖水性の回遊魚は好漁になることが多い。一方で、黒潮の離岸によって低温化する潮岬西部の海域では、養殖ハマチなどが一部へい死することが報告されている。流れの変化に起因する漁場変化は状況がより複雑である。流れに受動的に輸送されるカタクチシラスの場合、2004-2005大蛇行と2017大蛇行では漁模様が異なり、さらに2017大蛇行期においても好漁期、不漁期があり、一意に決まらない。これは黒潮大蛇行に伴う沿岸域への流れのパターンが一つではなく、複数あるいは複雑であることに起因する。このように黒潮大蛇行は沿岸域の海況変化を通じて周辺海域の漁場形成に度々影響を及ぼすが、漁具そのものにも影響を及ぼすことがある。例えば、2017黒潮大蛇行では、遠州灘から室戸岬の広範囲において内側反流に起因した急潮が頻発し、網が破壊されたりするなどして、大きな漁業被害を生じさせた。更なる事例は発表時に述べる。