日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG45] 陸域〜沿岸域における⽔・⼟砂動態

2022年5月26日(木) 09:00 〜 10:30 展示場特設会場 (2) (幕張メッセ国際展示場)

コンビーナ:山崎 大(東京大学生産技術研究所)、コンビーナ:木田 新一郎(九州大学・応用力学研究所)、浅野 友子(東京大学)、コンビーナ:有働 恵子(東北大学災害科学国際研究所)、座長:木田 新一郎(九州大学・応用力学研究所)、有働 恵子(東北大学災害科学国際研究所)

09:00 〜 09:15

[ACG45-01] ドローンによる汽水域・沿岸域の空撮・水中同時観測

*木田 新一郎1田中 潔2、伊佐田 智規3中村 知裕4 (1.九州大学・応用力学研究所、2.東京大学・大気海洋研究所、3.北海道大学・北方生物圏フィールド科学センター厚岸臨海実験所、4.北海道大学・低温科学研究所)

キーワード:汽水域、ドローン、観測手法

海洋へと流れ込む河川水は、潮流によって大きく左右に揺さぶれながら海水と混ざり、海の中へ拡散していく。河川水と海水の間には水塊特性が急激に変化する河川フロントと呼ばれる境界域が存在し、そこで起きる混合過程が河川水の拡散速度を決めることになる。河川フロントは時々刻々と変化するため、その形状を通常の船舶観測から実態を捉えることは難しく、ドローンによる空撮が非常に有効な観測手法となる。しかしその位置の特定には泡列など視覚的な判断によることが多く、また空撮画像のみでは密度差など、物理的なパラメータが謎なままになる。そこで我々はドローンによる空撮に加えて海面付近の水温・塩分・クロロフィル濃度を実計測することを目指し、ラジコンボートを用いて空撮と水中の同時観測を試みた観測手法を紹介する。ラジコンボートには曳航式水温・塩分・クロロフィル濃度プロファイラーとADCPを取り付ける。これによって陸や船上からラジコンボートを操作することで、海面を大きく乱すことなく海面付近の水塊と流れ場の鉛直断面構造を取得することができる。またマルチスペクトルカメラを搭載したドローンを用いることで、広い空間スケールの中で直接観測を実施している場の状況を把握することができる。空撮画像と水塊データが同時に取得できることで、1mほどの幅しかもたない河川フロントの構造の存在や、泡列が海面にあるものの水塊フロントではないケースが判別できるなど、これまで得られない詳細なデータが獲得できる有効な観測手法となりうることを示している。