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[ACG45-08] 山地流域の豪雨時の土砂生産。流出とその後の活発な土砂流出の実態
★招待講演
キーワード:土砂生産・流出、山地流域、土砂管理
日本では、国土の約70%をしめる山地部の土砂移動は言うまでもなく、流砂系の土砂移動を大きくコントロールする。山地では、斜面における斜面崩壊(表層崩壊、深層崩壊)、地すべり、表面侵食、渓流における土石流、掃流状集合流動、掃流砂、浮遊砂と多様な土砂移動現象が生じている。このうち、斜面崩壊、土石流といった現象は数年に1度以下の頻度で生じる降雨時に発生することは極めてまれであり、数10年~数100年に1度の頻度で生じる降雨時に集中的に発生する。一方で、斜面崩壊や土石流により移動する土砂の量はその他の形態による土砂の移動量に比べて、数オーダー大きいため、山地域の土砂の移動量は年々の変動が極めて大きい。さらに、ひとたび、大規模な降雨または地震により斜面崩壊や土砂流出が生じると、水による土砂の輸送能力が不足し、大量な土砂が山地河川やその周辺に残置される。そのため、その後の数年から数10年は流砂量が増加する土砂流出が活発な状況が継続することが近年、明らかにされてきた。すなわち、山地域の土砂動態は、①降雨の規模の増大にともない土砂の移動量は急激に増加し、降雨量と土砂の移動量の間には極めて非線形性の高い関係がある、②数年から数10年問というタイムスケールで土砂移動に関する環境が変化する、という水の流出や下流河川の土砂移動にはない特徴を有する。そこで、流砂系の土砂移動に関する理解を深め、適切で持続的な土砂管理をするためには、①、②の特徴を定量的に評価することが重要となる。以上を踏まえて、本発表では、著者らが実施してきた最近の研究を中心に①、②の視点で再整理し、定量的評価の可能性と課題について、考察する。