日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG46] 海洋表層-大気間の生物地球化学

2022年5月26日(木) 15:30 〜 17:00 302 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:亀山 宗彦(北海道大学)、コンビーナ:岩本 洋子(広島大学大学院統合生命科学研究科)、野口 真希(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球表層システム研究センター)、コンビーナ:小杉 如央(気象研究所)、座長:岩本 洋子(広島大学大学院統合生命科学研究科)、野口 真希(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球表層システム研究センター)

15:30 〜 15:45

[ACG46-01] ベンガル湾におけるエアロゾル鉄溶解率を用いた人為起源鉄溶出モデルの評価

*伊藤 彰記1、Baldo Clarissa2、时 宗波2 (1.海洋研究開発機構、2.バーミンガム大学)

キーワード:人為起源鉄、エアロゾル化学輸送モデル、室内実験

鉱物起源鉄は、遠洋へ供給されるエアロゾル鉄の主要な発生源である。それに対して、人為起源鉄の酸溶出過程は、高い鉄溶解率をもたらし、それ故に、海洋表層での生物に利用可能な鉄物質循環へ与える影響の重要性に関する研究に関心が集まっている。本発表では、室内実験を基に開発したエアロゾル化学輸送モデルにおける燃焼起源エアロゾル鉄溶出過程をベンガル湾上空での鉄溶解率の観測データを用いて評価する。
我々の室内実験結果では、燃焼起源のエアロゾルが、鉱物起源に比べてかなり速い鉄溶出速度を示した。そこで、ベンガル湾上空でのエアロゾル鉄溶解率を用いて、人為起源鉄溶出モデルを評価した。その結果、溶出初期段階で早い溶出速度とプロトンによる鉄溶出速度をシュウ酸が抑制する効果を考慮することにより、観測データの再現性が向上した。一方、プロトンによる鉄溶出速度のみを考慮することでは、観測データを過大評価した。それらの結果から、燃焼起源エアロゾルによる海洋施肥効果をより正確に予測するために、今後必要な研究に関して議論する。