日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03] 小・中・高等学校,大学の地球惑星科学教育

2022年5月29日(日) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (24) (Ch.24)

コンビーナ:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、コンビーナ:丹羽 淑博(東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター)、座長:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、丹羽 淑博(東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター)

11:00 〜 13:00

[G03-P04] 『源氏物語』「野分」の台風分析

*井村 有里1、田中 寛子2、西村 聡太朗1岡本 義雄3 (1.大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎、2.開明中学校・高等学校、3.大阪教育大学)

キーワード:高等学校、台風、源氏物語、野分、教科横断

平成30年(2018年)3月に告示された令和4年(2022年)実施の高等学校学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善や、「教科横断的な視点で組み立てていく」カリキュラム・マネジメントなどの推進が求められている。理科では、「自然の事物・現象を、質的・量的な関係や時間的・空間的な関係などの科学的な視点で捉え、比較したり、関係付けたりするなどの科学的に探究する方法を用いて考える」「見方・考え方」を育成することが目標の1つにある。
「気象」の分野は、我々にとって身近な現象を扱う分野である。生徒達は、マスメディアの天気予報や気象災害の報道など「気象」の話題に触れる機会がある。また、学習の過程において、小学校第4学年では1日の気温変化と水の状態変化について、第5学年では雲と天気の変化とその予報について学習する。中学校第2学年では、水の状態変化や、大気の動きと日本の四季について学習する(高等学校学習指導要領 2018)。しかし、「冬の気圧配置は『西高東低』で日本海側の地域では大雪が降る」などの暗記に止まっていて、(大阪で生活している)生徒達自身が日々目にする風景や情報と、学習内容とを結びつけて理解できていないことが多い。
本研究は、「水と気象」および「日本の気象」の総合的な理解を深めることを目標として、教科横断型授業の取り組みについて提案するものである。古典文学の中から、春の嵐、梅雨、台風など、季節特異的な気象現象を扱った作品を選出し、その中でも『源氏物語』に着目した。『源氏物語』には、物語の展開とともにその時々の気象現象が詳しく描かれている。「台風」は平安時代も現代も自然環境および人間生活に大きな影響を与えることを理解させ、作品にあらわされている風向、風速、雨量などから、台風の規模および進路を考察させる。生徒達の思考の各段階を評価することによって、各生徒の理解の程度を測りたい。