日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03] 小・中・高等学校,大学の地球惑星科学教育

2022年5月29日(日) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (24) (Ch.24)

コンビーナ:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、コンビーナ:丹羽 淑博(東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター)、座長:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、丹羽 淑博(東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター)

11:00 〜 13:00

[G03-P06] わしらのまちの湿原を知る -北海道長万部町地域おこし協力隊の挑戦-

亀田 純孝1田代 崇2中村 絵美1、林崎 涼3、*船引 彩子4 (1.長万部町、2.日本大学、3.電力中央研究所、4.東京理科大学)

キーワード:静狩湿原、長万部町、高層湿原、地学教育

北海道山越郡長万部町に存在する静狩湿原は,北海道における低地の高層湿原としては最も南に位置する.戦前には天然記念物に指定された歴史もあるが,戦後の食糧事情などから急速に開拓され,湿原の乾燥化が進んだ.しかし現在でも一部で貴重な植生が残されており,湿原の形成過程に関しても研究が進んでいる.
2021年11月,長万部町の地域おこし協力隊員が研究者らと協力し,長万部町学習文化センターにおいて「静狩湿原展」を開催した.静狩湿原の気候や植生,形成過程を知ることができるようグラフや空中写真などをポスターに多用し,剥ぎ取り資料も会場内に展示した.沖積平野や泥炭などの用語に関しては,小学生でもわかるような易しい言葉で表現するように工夫した.また,ドローンでの空撮映像をSNSで配信するとともに,会場でも上映した.静狩湿原は町の中心部から少し離れているため町民でも訪れたことがない人も多いが,空撮映像は湿原の大きさや空間的な広がりを体感することができると好評だった.
長万部町はかつて鉄道の町として栄えたが,現在は高齢化や人口流出が進んでおり,静狩湿原展開催時の人口は5,124人(2021年11月)である.会場となった学習文化センターには図書館も併設されており,インターネットなどの利用が困難な高齢者や小学生も立ち寄ることが多い.2週間の展示期間において延べ来場者数は164人で,コロナ禍にありながらも注目を集めることができた.長万部町には学芸員が常駐していないが,本展示には近隣自治体から博物館学芸員の来訪もあり,今後の展示などについて情報を交換できた.
本講演では詳細な展示内容や住民の反応などについて説明し,これからの町と湿原の関係について議論する.