日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-05] ジオパークで学ぶ日本列島の特徴と地球・自然・人の相互作用(ポスター発表)

2022年5月29日(日) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (26) (Ch.26)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、コンビーナ:佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(糸魚川市役所)、コンビーナ:小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)、座長:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)

11:00 〜 13:00

[G05-P07] 神奈川県立高校図書館におけるジオパーク展示

*小笹 直人1笠間 友博1 (1.箱根ジオパーク推進協議会)

キーワード:ジオパーク、図書館、高等学校、展示

新型コロナウイルス感染症拡大は、ジオパークが行う学校教育の機会も減少させた。箱根ジオパークでは感染症の影響下でも可能な活動として以下1~5の理由から学校図書館での展示に取り組んだ。1.展示物を媒介としているので、部外者との接触感染を避けることができる。2.図書館には、漫画から専門書まで様々な分野の本があり、教科に縛られない多様な教材を受け入れる素地がある。3.ジオパークや箱根、火山、神奈川県の地形、地質などの関連蔵書は必ず存在し、これらを読む機会を与えることによって学習を深められる。4.本による調べ学習になるので、専門的な知識を持った教員や外部講師がいなくても、書籍の知識をもつ司書の指導で十分対応可能である。5.休み時間、放課後、夏季休業など自由な時間に、何度でも展示を見て学習することができる。なお、箱根ジオパークで出版したガイドブック、拠点施設の出版物を補強して展示し、いつでも借りられるようにした。5.については一部の学校で文化祭の期間を含めた展示を行った。さらに、コロナ感染症の落ち着いた期間では、拠点施設学芸員の展示解説、学校周辺での観察会も開催した。展示は箱根ジオパーク事務局員のネットワークから、まず神奈川県立A高校にて試行的に実施(2021年1月19日から2021年6月17日まで)し、その後、同教員のネットワークから依頼が拡散し、神奈川県立B高校(2021年6月17日から継続中)、同C高校(2021年10月30日から継続中)で実施した。この展示のリレーは現在も進行中で、その結果は別の機会で発表する。なお、これらの高校は箱根ジオパークエリアではなく、人口の集中する県中東部にある。展示は学習に加え、箱根ジオパークエリアの広報や地質学の普及の意味ももたせた。展示内容は、箱根ジオパークとは何なのかを伝える、箱根ジオパークと高校周辺の関係性を伝える、高校周辺をジオパークの目線で紹介することを構成要素とした。また、具体的な展示物として、パネル、岩石鉱物等の実物標本、関連書籍紹介を配置した。また、会場でアンケートを実施(回収率は全校生徒の5%程度)することで、展示内容や箱根ジオパーク認知度の調査をした。展示に関して最も興味をもったのは、いずれの学校も実物標本であった(58~76%)。箱根ジオパーク関連の調査はB校、C校のみであったが、箱根ジオパークを知る生徒の割合は33~35%と低かった。箱根ジオパークに取り組む箱根町、小田原市、真鶴町、湯河原町、南足柄市のうち行ったことがある市町は、小田原市(78~83%)、箱根町(74~91%)は高いが、真鶴町(43~44%)、湯河原町(46~55%)、南足柄市(41~47%)は低く、箱根ジオパークの1つの目的である地域内の周遊観光には引き続き課題があることが示された。さらに学校周辺の地形・地質学習について、授業であれば参加したいか、という質問に対しては52~61%が参加したいと答えており、授業における展開も有効であることが示された。