日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-05] ジオパークで学ぶ日本列島の特徴と地球・自然・人の相互作用(ポスター発表)

2022年5月29日(日) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (26) (Ch.26)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、コンビーナ:佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(糸魚川市役所)、コンビーナ:小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)、座長:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)

11:00 〜 13:00

[G05-P16] 観光名所 大歩危小歩危での三好ジオパーク構想の取り組み

*殿谷 梓1 (1.三好市役所ジオパーク推進室)

キーワード:三好ジオパーク構想、大歩危小歩危峡、ジオツーリズム

三好ジオパーク構想エリアにある大歩危小歩危峡は,三波川帯沈み込み変成帯の隆起部分にあたり,四国山地中央部に位置する顕著な横谷である(太田ほか,2004).数kmにおよぶ背斜構造,背斜構造軸部にある構造的最下位の砂質片岩・礫質片岩の露出など、大歩危小歩危峡にはいくつもの特徴ある地質構造が垣間見られることから,地球科学の調査地としても知られている地域の一つである.これらの地球科学的な価値や景観が認められ,大歩危小歩危峡は国の天然記念物及び名勝に指定されている.
大歩危小歩危峡では,三好ジオパーク構想が発足する以前から観光遊覧船やラフティングによる観光事業が行われ,徳島県内でも有数の観光名所として知られている.しかしながら,現在のような観光地・景勝地として知られるようになったきっかけは,1894年に国道32号が吉野川河岸沿いに開通したことにある.国道32号の開通から現在に至るまで,大歩危小歩危峡は急峻な地形が作り出す景観や景観を活用した遊覧船などの事業によって,観光地として栄えてきた.
現在,この大歩危小歩危峡沿いには,約10箇所のジオパークのサイトがある.地元小中学校のジオパーク学習やジオガイドによるツアーコースが創設され,2017年から2021年までに5回のジオパーク学習,18回のジオツアーが展開されている.しかしながら,大歩危小歩危峡でのジオパーク活動は,主に三好市役所ジオパーク推進室が主催で行うイベントや学習会,またはジオガイドによるジオツアーが展開されているだけで,地元企業や団体と連携した活動は展開されていなかった.
2021年冬以降の新たな取り組みとして,観光遊覧船事業者と地元若手地域づくり団体とジオガイドが協力して行う大歩危峡遊覧船ジオツアーのモニターツアーが展開されており,1月末までに約140名が参加している.
本発表では,観光地である大歩危小歩危峡でジオパーク活動を行うことによって生じた新しい取り組みや課題について報告する.