10:15 〜 10:30
[HCG24-06] 地層処分母岩として考えた場合の日本の花崗岩
キーワード:高レベル放射性廃棄物、地下水、割れ目、花崗岩
我が国は変動帯にあり,原子力発電を進める国の中では処分場選定が最も困難な国の一つである.そして,断層運動,地震,火山噴火,隆起などの地殻変動が最も大きな課題であると認識されている.これらを避けることができ得る地域として,経産省から科学的特性マップが公表された.しかしながら,これらの直接的影響が避けられたとしても,超長期にわたる核種の隔離が社会的受容性をもって確保されなければ,処分の実現は難しい.そのためには,核種の運搬媒体となる地下水の通路の適切な評価が可能とならなければならない.
我が国では,高レベル放射性廃棄物地層処分の母岩として,堆積軟岩と結晶質岩とが代表的なものとして検討が進められてきた.その他に我が国に広く分布する岩石として,付加体岩石や火砕岩もあり,これらについては,前者の2岩石に準ずるだけでなく,その特性に基づいた検討が必要であるが,ここでは,結晶質岩の代表的なものとして考えられている花崗岩について,最近の知見を踏まえた私見を述べたい.
処分場母岩としての花崗岩を考えた場合,最も不利であると考えられるのは,水みちとなる割れ目が多いと想定されること,さらに,非破壊でこれらの割れ目を調査・評価することが困難なことである.筆者の経験からしても,日本の花崗岩には割れ目が多いという強い印象がある.しかしながら,筆者は花崗岩の球状風化の研究を進め,付随的な結果ではあるが,花崗岩にも冷却時に柱状の節理が形成されること,そして,それらは花崗岩体のルーフ直下に多いらしいことを見出した.また,柱状節理の発達領域の下には塊状の花崗岩体が広がっていると見込まれることを見出した.この柱状の節理が多いゾーンは,例えば鈴鹿山地の御在所花崗岩に典型的にみられ,また,広島花崗岩の広い範囲に認められる.このような領域を日常的にみれば,花崗岩には割れ目が多いという印象を強くしても当然であると言える.しかしながら,これらの割れ目は深部には連続しない可能性がある.従来,花崗岩地域の割れ目については,鉛直ボーリングの調査結果から深部に向けて割れ目が少なくなるという研究結果があるが,これは低角割れ目の分布を大きく反映したものであり,おそらく除荷の影響を受けた結果である.それに対して高角割れ目については,深度方向分布変化は一般性は正確には把握されておらず,テクトニックな割れ目か否かの検討も十分ではなく,検討が必要なこととして残されている.
我が国には時代的に広い範囲の花崗岩が分布し,古いものほど長期間地殻変動の影響を受けて,多くの傷を受けていることが考えられる.一方,西南日本外帯などに分布する新第三紀以降の花崗岩の場合,場所によっては広い範囲に傷の極めて少ない領域があることが想定される.現状ではそれを支持する実際の地下のデータがほとんどなく,これらの領域を科学的に調査・吟味することは,処分場母岩について新しい見通しを与える可能性がある.
我が国では,高レベル放射性廃棄物地層処分の母岩として,堆積軟岩と結晶質岩とが代表的なものとして検討が進められてきた.その他に我が国に広く分布する岩石として,付加体岩石や火砕岩もあり,これらについては,前者の2岩石に準ずるだけでなく,その特性に基づいた検討が必要であるが,ここでは,結晶質岩の代表的なものとして考えられている花崗岩について,最近の知見を踏まえた私見を述べたい.
処分場母岩としての花崗岩を考えた場合,最も不利であると考えられるのは,水みちとなる割れ目が多いと想定されること,さらに,非破壊でこれらの割れ目を調査・評価することが困難なことである.筆者の経験からしても,日本の花崗岩には割れ目が多いという強い印象がある.しかしながら,筆者は花崗岩の球状風化の研究を進め,付随的な結果ではあるが,花崗岩にも冷却時に柱状の節理が形成されること,そして,それらは花崗岩体のルーフ直下に多いらしいことを見出した.また,柱状節理の発達領域の下には塊状の花崗岩体が広がっていると見込まれることを見出した.この柱状の節理が多いゾーンは,例えば鈴鹿山地の御在所花崗岩に典型的にみられ,また,広島花崗岩の広い範囲に認められる.このような領域を日常的にみれば,花崗岩には割れ目が多いという印象を強くしても当然であると言える.しかしながら,これらの割れ目は深部には連続しない可能性がある.従来,花崗岩地域の割れ目については,鉛直ボーリングの調査結果から深部に向けて割れ目が少なくなるという研究結果があるが,これは低角割れ目の分布を大きく反映したものであり,おそらく除荷の影響を受けた結果である.それに対して高角割れ目については,深度方向分布変化は一般性は正確には把握されておらず,テクトニックな割れ目か否かの検討も十分ではなく,検討が必要なこととして残されている.
我が国には時代的に広い範囲の花崗岩が分布し,古いものほど長期間地殻変動の影響を受けて,多くの傷を受けていることが考えられる.一方,西南日本外帯などに分布する新第三紀以降の花崗岩の場合,場所によっては広い範囲に傷の極めて少ない領域があることが想定される.現状ではそれを支持する実際の地下のデータがほとんどなく,これらの領域を科学的に調査・吟味することは,処分場母岩について新しい見通しを与える可能性がある.