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[HCG25-01] 奄美大島の沿岸巨礫分布を形成した過去の高波の最大規模の数値的推定
キーワード:台風、沿岸巨礫堆積物、数値シミュレーション、サンゴ礁、ハザード評価、堆積物移動シミュレーション
亜熱帯地域にとって台風による波浪イベントは,沿岸の地形形成や生態系,そして人間活動に影響を与える主たる外的要因のひとつである.しかし,102年スケールの再来間隔を持つ低頻度巨大イベントの影響を評価するためには,観測記録を超えて過去の波浪イベントの記録を復元する必要がある.鹿児島県奄美大島あやまる岬のリーフ上には沿岸巨礫堆積物が分布しており,これらの巨礫群は過去数千年にわたる高エネルギー波浪イベントの規模を記録するプロキシとなる可能性がある.本研究では,現地調査によりあやまる岬の沿岸巨礫堆積物の分布を記載し,数値シミュレーションにより奄美大島の巨礫分布を説明できる波浪の条件を推定する.現地調査の結果から,巨礫分布はリーフ上の波高減衰特性に従い内陸細粒化傾向を示し,一部の巨礫はインブリケーションを呈することが確認された.また,数値計算の結果から,あやまる岬を襲来した最大波浪条件が推定され,奄美大島名瀬での観測史上最大波を上回る規模の高波が,過去に奄美大島を襲来したことが示唆された.一方で,あやまる岬における推定最大波は,日本の観測史上の最大である沖縄県中城湾で観測された最大波を上回るほどではなかった.本研究の結果は,琉球列島の北部(奄美諸島)と中部(沖縄諸島)とで,過去数千年にわたる波浪に対するハザードリスクが異なったことを示唆する.