日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG27] 人間の社会活動と地球惑星科学

2022年6月1日(水) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (19) (Ch.19)

コンビーナ:天野 一男(東京大学空間情報科学研究センター)、コンビーナ:小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、山本 佳世子(国立大学法人 電気通信大学)、コンビーナ:河本 大地(奈良教育大学)、座長:天野 一男(東京大学空間情報科学研究センター)

11:00 〜 13:00

[HCG27-P04] 住民とハザードマップを学ぶ:一般社団法人みんぼうネットワークの活動

*天野 一男1,2、橋本 純2、金栗 聡2 (1.東京大学空間情報科学研究センター、2.一般社団法人みんぼうネットワーク)

キーワード:ハザードマップ、自然災害、日本列島

未曾有の被害をもたらした2011年の東北地方太平洋沖地震以降も,日本列島では各種の自然災害が頻発しており被害も出ている.2021年をとってみても,東北地方太平洋沖地震の余震と考えられる福島県沖地震,静岡県熱海市で集中豪雨の影響で土石流が発生し死者を含む大きな被害がでるとともに各地で河川の氾濫が起こった.日本列島は常に各種自然災害に襲われている.これは,日本列島の地質的,地理的位置によるもので,避けることはできない.
災害列島ともいうべき日本列島の住民が,自らの命や財産を自然災害から守り,その被害を最小限にするためには,日本列島の地球科学的特性を理解し,発生可能性の高い自然災害への対応を普段から考えておくことが必要である.その際に参考になるものが,市町村が作成している自然災害ハザードマップである.ハザードマップは,洪水・土砂災害・津波・火山等に対応したものが作成公表されている.
ハザードマップを住民が活用する際,大きな問題がある.最も大きなものとしては,一般の住民の多くが地形や地質といった地球科学的な知識をもっていないことである.それは,近年では高等学校理科で地学をとる学生が極めて少数になっていることなどにあらわれている.また,等高線の入った地形図を判読できる住民の数も少ないものと思われる.このような状態でハザードマップを見ても,住民がそこから情報を読み取り自然災害から身を守ることを困難である.一方,ハザードマップそのものについても自治体により完成度に差があったり,ハザードマップの存在そのものが知られていないといった問題がある.
住民がハザードマップを正確に読み活用できるようになるためには,地球科学的知識と経験のある専門家による指導が必要となる.我々は,住民がハザードマップを読み理解するためのインタープリターとなることをめざして,一般社団法人みんぼうネットワークを2021年6月14日に立ち上げた.本講演では,本一般社団法人の現状の報告と将来の展望について紹介する.