日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG28] 農業残渣焼却のもたらす大気汚染と健康影響および解決への道筋

2022年5月31日(火) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (16) (Ch.16)

コンビーナ:林田 佐智子(総合地球環境学研究所)、コンビーナ:竹内 渉(東京大学生産技術研究所)、Patra Prabir(Research Institute for Global Change, JAMSTEC)、コンビーナ:山地 一代(神戸大学)、座長:Patra Prabir(Research Institute for Global Change, JAMSTEC)、Mizuo Kajino(Meteorological Research Institute)

11:00 〜 13:00

[HCG28-P05] 衛星観測データ解析によるインド北部におけるエアロゾルの特徴

*久慈 誠1、山田 奈直2 (1.奈良女子大学研究院自然科学系、2.奈良女子大学大学院人間文化総合科学研究科)

キーワード:エアロゾル、大気汚染、しきさい衛星

近年、アジア地域では急速な経済活動の発展により、大気汚染が深刻化してきている。汚染物質の一つであるエアロゾルは、長距離輸送により周辺地域に越境汚染を引き起こす可能性がある。例えば、インドのデリー首都圏では例年、深刻な大気汚染が報告されており、北⻄部のパンジャーブ地方における藁焼きの影響が示唆されている。ここで、広域の大気汚染の監視には衛星観測が有効である。そこで本研究では、人工衛星観測によるエアロゾルプロダクトに着目し、北インドの大気汚染について調べた。

まず、気候変動観測衛星しきさいGCOM-Cによって観測された陸上のエアロゾル光学的厚さについて、2018年から2021年までの時系列解析を行った。デリーを含む北インドの4地点について調べたところ、いずれの年においても10月下旬から11月上旬にかけて光学的厚さの急上昇が見られ、年を追う毎にその上昇幅が大きくなっていることがわかった。また、この10月下旬から11月上旬にかけては、パンジャーブ地方でMODISの火災検知数が増加していることが確認できた。

そこで、流跡線解析ツールHYSPLITを用いて調べたところ、パンジャーブ地方からデリーを含む北インドの4地点へ、空気塊が移動している事例が確認できた。さらに、気象再解析MERRA-2から、3時間毎のエアロゾル光学的厚さの水平分布を確認したところ、パンジャーブ地方からエアロゾル光学的厚さの高いプルームの移動を示す時間変化が見られる一方、現地時間の午前中にエアロゾル光学的厚さが局地的に増加している事例も見られた。

この初期解析の結果を踏まえ、今後、エアロゾル光学的厚さの高い事例について、詳細に調べていく予定である。