日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG29] 圏外環境における閉鎖生態系と生物システムおよびその応用

2022年5月22日(日) 09:00 〜 10:30 201A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:篠原 正典(帝京科学大学)、コンビーナ:加藤 浩(三重大学 地域イノベーション推進機構 先端科学研究支援センター 植物機能ゲノミクス部門)、木村 駿太(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 / 宇宙探査イノベーションハブ(併任))、コンビーナ:オン 碧(筑波大学)、座長:加藤 浩(三重大学 地域イノベーション推進機構 先端科学研究支援センター 植物機能ゲノミクス部門)、オン 碧(筑波大学)、横谷 香織(筑波大学生命環境系)

10:05 〜 10:20

[HCG29-04] 圏外環境でヒトは殖え続けられるか~大型社会性動物の飼育実績から学ぶ

*篠原 正典1 (1.帝京科学大学)

キーワード:長期閉鎖居住、大型社会性哺乳類

実際の宇宙空間で437日間、また、地上での閉鎖実験施設内で520日間、ヒトは心身の健康を保ちパフォーマンスを維持して暮らせた実績がある。しかし、より長期の生活、さらには出産や成長を経て殖えることが可能なのか、いまだ検討になる知見は乏しい。SFで幾度も描かれたりイーロン・マスクような巨人が夢描くような未来、巨大な宇宙ステーションや火星のような地球以外の惑星系でヒトが数千、数万人の規模で永続的に暮らし続ける未来は可能なのだろうか。地球上で別の大陸に移民するといった生物的な変化も伴うような時間スケールでの事象より、この試みの初期の状態が類比できるのは、野生からヒトが切り取ってきた大型社会性動物(シャチ、ゾウ、イルカ類、ゴリラなど)を健全に維持飼育し続けられたかといった事例の方が、部分的に貴重な示唆を与えてくれるのではないだろうか。本報告では、失敗し現在は諦めているシャチ飼育の例や、懐疑的に考えられているゾウ飼育の例、苦戦が続く大型類人猿の例などを紹介しつつ、検討が必要な課題を浮かび上がらせる。