日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG29] 圏外環境における閉鎖生態系と生物システムおよびその応用

2022年5月30日(月) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (16) (Ch.16)

コンビーナ:篠原 正典(帝京科学大学)、コンビーナ:加藤 浩(三重大学 地域イノベーション推進機構 先端科学研究支援センター 植物機能ゲノミクス部門)、木村 駿太(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 / 宇宙探査イノベーションハブ(併任))、コンビーナ:オン 碧(筑波大学)、座長:篠原 正典(帝京科学大学)、木村 駿太(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 / 宇宙探査イノベーションハブ(併任))、横谷 香織(筑波大学生命環境系)

11:00 〜 13:00

[HCG29-P02] 陸棲シアノバクテリア Nostoc sp. HK-01の低水分環境において誘導される遺伝子の発現解析

*柴﨑 健豪1田中 博子1加藤 浩2富田ー横谷 香織3オン 碧3安部 智子1 (1.東京電機大学理工学部、2.三重大学地域イノベーション推進機構、3.筑波大学生命環境系)

キーワード:シアノバクテリア、乾燥耐性

 Nostoc sp. HK-01 は、陸棲シアノバクテリアの中でも特に乾燥に高い耐性を備える株として土壌から単離された株である1)。本菌の乾燥藻塊が100ºCを超える高温に対して耐性を示すことが報告されたが、藻塊の中でこの乾熱耐性を示す細胞はアキネート(休眠細胞)のみであることが確認されている2,3)。乾燥状態での本菌株アキネートの乾熱耐性が示されている一方で、乾燥耐性機構の一端が誘導されると考えられる湿潤状態から乾燥状態への移行過程において変動する物質群の詳細や、またその乾燥過程における熱環境耐性に関してはまだ明らかにされていない。
 本菌株は宇宙閉鎖空間での物質循環システムや食資源への利用が期待されている4)。宇宙空間を移動する際の過酷環境に耐えるため、可能な限り高い過酷環境耐性を備えた本菌株の乾燥菌体の準備・作製法の確立が必要となる。そのための第一歩として、本菌株の乾燥過程で特異的に見出される遺伝子あるいは遺伝子群、およびその遺伝子産物についての情報の蓄積に臨んだ。本研究では、藻塊を低水分環境下に曝し、藻塊が湿潤状態から乾燥状態へ移行する過程で誘導される遺伝子群をプロテオーム解析ならびにトランスクリプトーム解析により探索した。

参考文献:
1. Katoh, H. et al., Microbes Environ 18, 82-88, 2003.
2. Kimura, S. Tomita-Yokotani, K. et al., Biol. Sci. Space 29, 12-18, 2015.
3. Kimura, S. Tomita-Yokotani, K. et al., Am. J. Plant Sci. 8, 2695-2711, 2017.
4. Tomita-Yokotani, K. et al., Astrobiology 21, 1506-1514, 2021.