日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GG 地理学

[H-GG01] 自然資源・環境に関する地球科学と社会科学の対話

2022年5月31日(火) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (13) (Ch.13)

コンビーナ:古市 剛久(森林総合研究所)、コンビーナ:上田 元(一橋大学・大学院社会学研究科)、大月 義徳(東北大学大学院理学研究科地学専攻環境地理学講座)、コンビーナ:佐々木 達(宮城教育大学)、座長:古市 剛久(森林総合研究所)、座長:上田 元(一橋大学・大学院社会学研究科)

11:00 〜 13:00

[HGG01-P01] 細粒物質の分布から山地荒廃の潜在的リスクを評価する

★招待講演

*大丸 裕武1 (1.国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所)

キーワード:治山事業、山地荒廃、細粒物質、 浸食

日本の治山事業は荒廃した土地に森林を復旧することを目的としてきた。過去の治山事業を見ると、荒廃の多くは細粒な表層物質で覆われているという共通の特徴を見出すことができる。ハゲ山と呼ばれる荒廃現象は日本の山地荒廃の典型的な事例であるが、ハゲ山荒廃の多くは、中部から西日本の厚い花崗岩の風化殻で覆われた低起伏山地で発生している。海岸砂防林の造成の多くは、過去の人間の活動によって植生が破壊された砂丘の再移動を防止することを目的としていた。北上山地の稜線部における荒廃裸地の多くは岩手火山から飛来したシルト質の火山灰が風食を受けたために発生した。これらの土地荒廃は、いずれも、人間活動による植生の破壊によって、地表付近の細粒物質が地表水による侵食や、強風、凍上作用によって再移動したために発生したものであり、土地荒廃の背景にある細粒表層物質の存在は、自然地理学によって予測することができる。したがって、人間活動と自然環境との関係を解明することを目的とした地理学の視点は日本の山地荒廃の発生メカニズムの解明と、荒廃リスクの予測に貢献することができる。