日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-QR 第四紀学

[H-QR05] 地球惑星科学へのルミネッセンス・ESR年代測定の応用

2022年6月2日(木) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (14) (Ch.14)

コンビーナ:豊田 新(岡山理科大学理学部応用物理学科)、コンビーナ:田村 亨(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、下岡 順直(立正大学地球環境科学部環境システム学科)、座長:豊田 新(岡山理科大学古生物学・年代学研究センター)、田村 亨(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

11:00 〜 13:00

[HQR05-P04] 有孔虫の熱ルミネッセンス測定

品田 遥可2佐川 拓也2浜田 麻希2、*長谷部 徳子1 (1.金沢大学環日本海域環境研究センター、2.金沢大学理工学域)

キーワード:有孔虫、熱ルミネッセンス

有孔虫は, 酸素同位体分析により, 氷期・ 氷期サイクルに代表される地球の気候変動の研究に貢献する微化石である. 有孔虫の直接の年代決定を目指し,熱ルミネッセンス年代測定が可能かどうか吟味した。 
星の砂として販売されている有孔虫から,CalcarinaBaculogypsina をとりだし人工的にγ線照射を行い, TLCLを撮影したところ,赤く発光した.これらの有孔虫でXRDによる鉱物種の同定を行なったところ,方解石であった.単個体でのTL測定,複数個体でのTL測定を実施したが,TLグローカーブに大きな変化はなく低温側120℃と高温側320℃に発光のピークがあった.有孔虫を粉末にして分析すると,表面積の増加と温度の伝わりやすさにより,シグナル強度が上昇し,とくに高温側の発光ピークの温度がやや低下した.ルミネッセンス測定装置に付属のx線照射装置で線量を与え,1週間おいてから測定したところ,低温側のシグナルは残っていなかった.高温側のシグナルは発光温度がやや高温にシフトしシグナル強度がやや減少した.高温側のシグナルを使って線量応答性を調べたところ,調べた範囲(約500Gyまで)での直線性は良かった.天然の線量を保持した有孔虫を測定したところ,低温側のシグナルは残っていなかった.高温側のシグナルを利用して見かけの蓄積線量を求めることができた.
また試験的に貝形虫でも測定をおこなったが,TLCIでは有孔虫と同様に赤く発光したものの,TLグローカーブでは低温側の発光しか確認できなかった.測定した貝形虫は有孔虫に比して小さかったため試料量が十分でなかったか,あるいは微量元素等の影響で発光曲線が有孔虫とは異なっているのかもしれない.
今後化学組成分析や,シグナルの長期安定性等を評価し,蓄積線量が真に見積もれるかどうかの吟味を進めたい.