日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC06] 地球温暖化防⽌と地学(CO2地中貯留・有効利⽤、地球⼯学)

2022年5月24日(火) 15:30 〜 17:00 展示場特設会場 (2) (幕張メッセ国際展示場)

コンビーナ:徂徠 正夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)、コンビーナ:薛 自求(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構)、愛知 正温(東京大学大学院新領域創成科学研究科)、コンビーナ:今野 義浩(The University of Tokyo, Japan)、座長:徂徠 正夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)

16:00 〜 16:15

[HSC06-09] CO2ハイドレート貯留における液体CO2の圧入性能評価

*鳥羽瀬 孝臣1西山 治希2重岡 優希2 (1.電源開発株式会社、2.株式会社 J-POWERビジネスサービス)

キーワード:CCS、CO2地中貯留、ハイドレート、遮蔽性能、圧入性能

日本で2050年のカーボンニュートラルを実現するためには、CCSが年2億トン~3億トン必要と考えられている。CCSを社会実装するための主要課題の一つが国内でのCO2地中貯留の適地を確保することである。
CO2地中貯留の適地を拡大することを目的として、これまでに実績のある帯水層貯留に加えて、新たなにハイドレートメカニズムを利用したCO2地中貯留(「CO2ハイドレート貯留)と呼ぶ)を提案している。CO2ハイドレート貯留の遮蔽メカニズムは、泥岩等の地質構造ではなく、ハイドレートによるシール層の形成である。日本周辺海域(深海部)の温度圧力条件は、広い範囲でCO2ハイドレートを生成する条件を満たしていることが分かった。CO2ハイドレート貯留を実用化するための主要課題は、①ハイドレートシール層の遮蔽性能を定量的に評価すること、②貯留層に圧入する液体CO2の圧入性能(injectivity)を評価すること、の2つである。
本報告では、貯留層における液体CO2の圧入性能に焦点を当てる。帯水層貯留では一般的に超臨界CO2を圧入することで圧入性能を確保しているが、CO2ハイドレート貯留では、海底下の比較的浅い地層を対象とするため、当該地層内の温度圧力条件でCO2は液相となる。そこで、未固結堆積層を対象に液体CO2の圧入性能を評価するために、室内試験で相対浸透特性のデータを得てシミュレーションを行い、液体CO2を圧入した場合と超臨界CO2を圧入した場合とで、圧力応答やCO2プルームの挙動などを比較した。その結果、CO2プルームの挙動は超臨界CO2の方が速やかに移動するが、圧力応答に関してはほとんど差異がないことが分かった。ハイドレートシール層へ外力として作用する圧力応答に差がないのであれば、液体CO2で圧入することは妥当であると考えられる。