日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT20] 浅部物理探査が目指す新しい展開

2022年6月2日(木) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (20) (Ch.20)

コンビーナ:尾西 恭亮(国立研究開発法人土木研究所)、コンビーナ:横田 俊之(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)、磯 真一郎(公益財団法人 深田地質研究所)、コンビーナ:木佐貫 寛(応用地質株式会社)、座長:横田 俊之(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)、尾西 恭亮(国立研究開発法人土木研究所)

11:00 〜 13:00

[HTT20-P04] スパースモデリングを用いた比抵抗モニタリング解析法の検討

*木佐貫 寛1櫻井 健1 (1.応用地質株式会社)

キーワード:電気探査、スパースモデリング、時系列解析

スパースモデリングは解のスパース性を仮定して問題を解く方法である。ここでスパース性とは解の大部分が0であり,有意な情報はわずかであるということを意味している。比抵抗モニタリング解析にスパースモデリングを適用するためには,スパース性を仮定する必要がある。電気探査は地盤の比抵抗分布を推定する方法であり,比抵抗分布そのものにスパース性は成立しないが,比抵抗の時間変化(モニタリング)に着目すれば,スパース性を仮定することができる。例えば,地盤改良の比抵抗モニタリングでは,改良前後で改良した部分のみ比抵抗が変化し,その他の未改良部の比抵抗変化はないと仮定できるため,スパース性を設定することができる。そこで本稿は,2次元の数値実験により比抵抗モニタリングの解析におけるスパースモデリングの有効性について検討した。

スパースモデリングの代表的な手法として一般化LASSO(Least Absolute Shrinkage and Selection Operator)がある。LASSOを解く方法としては様々あるが,ここではADMM(Alternating Direction Method of Multipliers)を用い,比抵抗モニタリングの逆解析に実装した。

解析方法の適用性を検証するために,2次元の数値解析を実施した。数値解析では,地盤改良を想定し,均質な比抵抗構造の一部分の比抵抗が低下するモデルを設定した。また,スパースモデリングと比較のために従来の最小二乗法を用いた解析を実施した。両手法を比較したところ,スパースモデリングのほうがアノマリの形状を精度良く求められることが分かった。しかしながら,得られる解析結果はADMMで設定するパラメータに依存する。そのため,実データに対して適用する際は事前に最適なパラメータを調べる必要がある。

本稿は数値実験により,比抵抗モニタリング解析におけるスパースモデリングの適用性について検討した。その結果,従来の手法と比較して精度よく変化した部分を抽出できることが分かった。