日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS15] 山の科学

2022年5月22日(日) 10:45 〜 12:15 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、コンビーナ:佐々木 明彦(国士舘大学文学部史学地理学科 地理・環境コース)、奈良間 千之(新潟大学理学部フィールド科学人材育成プログラム)、コンビーナ:今野 明咲香(常葉大学)、座長:今野 明咲香(常葉大学)、奈良間 千之(新潟大学理学部フィールド科学人材育成プログラム)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)

10:45 〜 11:00

[MIS15-07] 定点観測カメラと機械学習を用いた高山気象モニタリング手法の開発

*岡本 遼太郎1小熊 宏之2浜田 崇3 (1.筑波大学、2.国立環境研究所、3.長野県環境保全研究所)


キーワード:高山気象、機械学習、定点カメラ

高山生態系は気候変動に対して極めて脆弱であり、その観測は固有種が多い高山生態系の保全の上でも、また気候変動への生態系の応答機構を探る上でも重要である。高山帯に特徴的な気象の一つに、局所的、短時間に出現する霧が挙げられる。霧や雲の有無は動物の行動パターンや植物の光合成に影響することが予想されるが、人の常駐が難しい高山帯では従来行われてきた目視による観測が難しく、研究事例は少ない。本研究では、高山帯における雲、霧の時空間分布を明らかにすることを目的に、定点観測カメラ写真から天気を自動判別するソフトウェアを開発している。定点観測カメラを用いるメリットとしては、1.衛星画像と異なり、上空の雲と地上の霧を判別できること、2.安価に高頻度の観測を実現できること、が挙げられる。開発手法では、写真を一定の大きさのタイルに分割し、それぞれのタイルごとに霧、雲の有無を判別する。霧、雲の判別には既存の大規模画像分類データセットで事前学習させた深層学習モデルを用いた。開発手法を既存の定点観測カメラ画像に適用させることによって、これまで定量的な知見に乏しかった高山帯の雲・霧の時空間分布について、新たな知見が得られると期待される。