11:15 〜 11:30
[MIS15-09] 苗場山頂湿原における植生変遷と地形との関係
キーワード:苗場山、植生、地形、植生高
苗場山山頂に広がる溶岩台地上には数多くの湿原の存在が知られている。榎本(2018MS)では苗場山山頂付近での規則的な植生形成過程が議論されている。また、苗場山から東北東約46km先の平ヶ岳山地湿原では安田・沖津(2001)、安田・沖津(2006)、安田ほか(2007)などで、植生の年代間変化やその要因について議論されている。しかし、山地湿原について形成過程が記載された論文が少なく、今後詳細な山地湿原の形成過程と植生変遷の解明が課題である。そこで撮影年代の異なる航空写真を用いた空中写真判、航空レーザ測量データを用いた地形や植生のGIS解析、現地調査により常時モニタリングをすることが厳しい苗場山山地湿原において植生の年代間変化の検出を行い、植生変化と地形量との関係を明らかにすることを目的に研究を行った。
1977年と1995年から2000年と2015年の3つの時期の航空写真を判読して、各時期の湿原・ササ原・森林の植生区分を行い、3時期の植生変遷の実態を捉えた。航空レーザの点群データからDEMとDSMを作成し、その差分から植生高のデータを作成した。現地調査では、植生変化状況を確認すると共に、樹高測定や地形計測を行い、航空レーザデータの解析結果が妥当であることを確認した。DEMの解析により標高、傾斜、斜面方位、植生高のデータを作成し、5mグリッドで3時期の植生変化情報とGISで重ね合わせ、相互の関係を検討した。
植生変化の特徴として、ササ地が湿原に侵入していることが示され、対象地域内ではササ地から森林への変化が顕著に進行していた。その結果、湿原が50年間で約20%減少していた。最近の方が湿原の減少量は少ないが、ササ原から森林への変化が面積的に大きい。傾斜の大きな場所や西向きや南向きの傾斜方位で湿原からササ原・森林に変わっていた。森林の植生高に関しては、森林化した年代が古い森林ほど植生高が大きいこと、標高の高い方が森林の植生高が低いことなどが、定量的に明らかになった。溶岩区分によって対象地域を分類し、植生変化や地形量を議論した結果、標高2000m未満の地域では標高2000m以上の地域よりも傾斜角が大きいことや森林化が進行していることが示された。今後の湿原植生の変遷をモニタリングする上で、貴重な情報が得られたと考える。
本研究は、苗場山麓ジオパーク学術研究奨励事業による助成を受けて実施されたものである。
1977年と1995年から2000年と2015年の3つの時期の航空写真を判読して、各時期の湿原・ササ原・森林の植生区分を行い、3時期の植生変遷の実態を捉えた。航空レーザの点群データからDEMとDSMを作成し、その差分から植生高のデータを作成した。現地調査では、植生変化状況を確認すると共に、樹高測定や地形計測を行い、航空レーザデータの解析結果が妥当であることを確認した。DEMの解析により標高、傾斜、斜面方位、植生高のデータを作成し、5mグリッドで3時期の植生変化情報とGISで重ね合わせ、相互の関係を検討した。
植生変化の特徴として、ササ地が湿原に侵入していることが示され、対象地域内ではササ地から森林への変化が顕著に進行していた。その結果、湿原が50年間で約20%減少していた。最近の方が湿原の減少量は少ないが、ササ原から森林への変化が面積的に大きい。傾斜の大きな場所や西向きや南向きの傾斜方位で湿原からササ原・森林に変わっていた。森林の植生高に関しては、森林化した年代が古い森林ほど植生高が大きいこと、標高の高い方が森林の植生高が低いことなどが、定量的に明らかになった。溶岩区分によって対象地域を分類し、植生変化や地形量を議論した結果、標高2000m未満の地域では標高2000m以上の地域よりも傾斜角が大きいことや森林化が進行していることが示された。今後の湿原植生の変遷をモニタリングする上で、貴重な情報が得られたと考える。
本研究は、苗場山麓ジオパーク学術研究奨励事業による助成を受けて実施されたものである。