日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS19] 地球科学としての海洋プラスチック

2022年5月30日(月) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (35) (Ch.35)

コンビーナ:磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、コンビーナ:川村 喜一郎(山口大学)、岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、コンビーナ:土屋 正史(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境部門)、座長:磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)

11:00 〜 13:00

[MIS19-P03] 島根半島東部沿岸域におけるマイクロプラスチックの分布と集積プロセス

*辻本 彰1、錦織 佳奈1土屋 正史2、野牧 秀隆3、松葉 史紗子4 (1.島根大学教育学部、2.国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境部門、3.国立研究開発法人海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門、4.国立研究開発法人国立環境研究所 生物多様性領域)

キーワード:マイクロプラスチック、島根半島

島根半島沿岸域では,対馬海流や季節風などの影響でプラスチックを含む多くの漂着ゴミが確認されている.それらが微細化したマイクロプラスチック(MPs)の分布を調査することは,生物影響の観点からも重要である.
本研究では,島根半島東部に位置する西向きの砂浜である小波,北東向きの千酌,北向きの北浦,そして南向きの笠浦,の4つの海岸を調査地とした.笠浦以外の3つの砂浜は背後に集落が立地し,夏場は海水浴場として利用されている.4つの海岸で2021年の5月に水深30cm付近の地点および満潮時の汀線で,10月には満潮時の汀線で底質の定量サンプリングを行い,そこに含まれる300µm-4.75mmのMPsの分析を行った.形状分類,色分類,長辺の計測を行い,ラマン分光法によりプラスチックの素材判別を行うことで,その特徴について明らかにした.
5月調査の結果,汀線付近からはMPsが複数抽出されたのに対し,水深30cm付近からはほとんど抽出されなかった.これは,打ち上げられたプラスチックは砂浜で微細化され汀線付近に堆積し,満潮時には微細化された粒子は沖に運搬されるためであると考えられる.
10月調査の結果,MPsの素材については,全ての海岸で発泡ポリスチレンが最も多く,84~96%を占めていた.次いでポリプロピレンやポリエチレンが多く見られた.MPsの素材や形状には海岸による顕著な差は無く,島根半島に漂着するMPsの起源は主に地域的な流出物ではなく,海流で運搬されてきたものと考えられる.一方,砂1kgあたりに含まれるMPsの個数は967~5461個であり,海岸によって漂着量やサイズに違いがみられた.これは海岸の向きによって海水の流向や風向との相対的な角度が異なることで,漂流・微細化過程に違いが生じた結果と推察された.