日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS26] ガスハイドレートと地球環境・資源科学

2022年6月3日(金) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (32) (Ch.32)

コンビーナ:戸丸 仁(千葉大学理学部地球科学科)、コンビーナ:八久保 晶弘(北見工業大学)、後藤 秀作(産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)、座長:戸丸 仁(千葉大学理学部地球科学科)、尾張 聡子(東京海洋大学)

11:00 〜 13:00

[MIS26-P09] 日本海鳥取県沖の海域における溶存メタン濃度の変動要因

*サク テンユウ1戸丸 仁1石田 直人2 (1.千葉大学、2.高知大学)

キーワード:メタン、ガスハイドレート、日本海

鳥取県沖の隠岐トラフの西部斜面上にはガスチムニーが発達しており,海底から海洋中に継続的に大量のメタンが放出されている.これまでの研究から、海底から気体状で放出されたメタンは,その表面がハイドレート化して浅部まで上昇していることが明らかになったが,メタンそのものの海水中での動態や濃度変動の要因は十分に議論されていなかった.そこで本研究では,鳥取県沖で採取した海水中のメタン濃度の時間的・空間的な変動を,塩分・溶存酸素量や水温などの海水の特性,海底堆積物の特徴や海底下のガスチムニー構造の有無,ガスハイドレートの形成・分解,海流による影響などの環境条件から多角的に検討した.
 ガスチムニー直上のメタン濃度は,水深400m以下の深層でほぼ一定であり,噴出されたメタンがハイドレートに覆われて,海水との反応が妨げられていることが明らかになった.ガスハイドレート安定領域上限の水深400~300 mでは,分解したハイドレートから放出されたメタンによってメタン濃度が上昇していた.水深300 m以浅の表層部では,溶存酸素量の増加に対応したメタン濃度の減少傾向がみられた.これは海水中のメタンが表層部でバクテリアによって酸化されたり,海流などによって拡散されたりしたためであると考えらえる.海面付近では大気との平衡状態に達し,溶存メタンが最小となった.