11:00 〜 13:00
[MIS26-P11] 日本海東縁酒田沖のメタンハイドレート胚胎域における堆積物の地盤強度調査
キーワード:メタンハイドレート、コーン貫入試験
世界の大陸縁辺海域や永久凍土域に広く分布するメタンハイドレートは、将来のエネルギー資源としての可能性を有していることから産業界・学術界の大きな関心を集めているが、採掘・回収手法を検討するためにはメタンハイドレート胚胎層の地盤工学的な検討が必要である。日本周辺海域では砂層型、表層型の2種類のメタンハイドレートが、それぞれ太平洋側と、日本海側及び北海道周辺に確認されている。表層型メタンハイドレートを含む堆積物の力学的挙動についての研究は、砂層型に比べ調査研究の報告が少ない。本発表では、表層型メタンハイドレートの胚胎が推定される日本海東縁の酒田海丘(仮称)で実施した海底堆積物の地盤強度調査の結果を報告する。
海底地盤強度調査航海(PS21)は2021年8月に原位置CPT試験、PS検層と堆積物試料採取を併せて実施された。調査地点は酒田海丘の海底擬似反射面(BSR)の分布域外を基準地点(水深約555 m、CPT2101)、分布域内を胚胎地点(水深約530 m、CPT2102)とし、それぞれ海底下約12 m、17 mまでCPT試験を実施した。CPT調査地点の近くでは海底下60 mまで掘削し、室内土質試験用の堆積物試料を採取した。掘削後、PS検層を行った。
基準地点ではCPT試験による先端抵抗、周面摩擦、間隙水圧およびPS検層による弾性波速度が深度方向に線形に増加した。胚胎地点でも深度方向の増加傾向が同様に認められたが、測定値はいずれも基準地点より高かった。加えて大きなピークが幾度も認められ、測定値の変化が大きかった。先端抵抗のピークに対応するような間隙水圧の低下から、粒径の大きな堆積層が胚胎地点に存在すると考えられる。これは基準地点に比べて胚胎地点では流体の上下の移動が生じやすい層の存在を示している。
室内試験結果とCPT試験による換算値を比較すると、基準地点では堆積物強度や細粒分含有率の測定値が良く一致した。一方胚胎地点では、堆積物表層(約5 mbsf: meter below seafloor)までは一致するが、深度が大きくなると、室内試験と比べCPT換算値の方が、堆積物強度は高く細粒分含有率は低く見積もられた。堆積物試料回収中に崩壊してしまうような微小なメタンハイドレートの存在が胚胎地点の原位置測定に影響することも考えられる。今後は地化学分析の結果と併せて検討する必要がある。
CPT調査は連続的に取得でき、室内土質試験の取得値との相関が一般によく、酒田海丘でも有用といえる。胚胎地点では基準地点とは明らかに異なる傾向を示すことから、メタンハイドレート胚胎域の推定にも地盤強度調査は有用だと考えられる。堆積物試料の採取・測定には時間がかかるため、両者を組み合わせることで海域の特徴の効率的な把握につながるだろう。
本研究は、経済産業省のメタンハイドレート開発促進事業の一部として実施した。
海底地盤強度調査航海(PS21)は2021年8月に原位置CPT試験、PS検層と堆積物試料採取を併せて実施された。調査地点は酒田海丘の海底擬似反射面(BSR)の分布域外を基準地点(水深約555 m、CPT2101)、分布域内を胚胎地点(水深約530 m、CPT2102)とし、それぞれ海底下約12 m、17 mまでCPT試験を実施した。CPT調査地点の近くでは海底下60 mまで掘削し、室内土質試験用の堆積物試料を採取した。掘削後、PS検層を行った。
基準地点ではCPT試験による先端抵抗、周面摩擦、間隙水圧およびPS検層による弾性波速度が深度方向に線形に増加した。胚胎地点でも深度方向の増加傾向が同様に認められたが、測定値はいずれも基準地点より高かった。加えて大きなピークが幾度も認められ、測定値の変化が大きかった。先端抵抗のピークに対応するような間隙水圧の低下から、粒径の大きな堆積層が胚胎地点に存在すると考えられる。これは基準地点に比べて胚胎地点では流体の上下の移動が生じやすい層の存在を示している。
室内試験結果とCPT試験による換算値を比較すると、基準地点では堆積物強度や細粒分含有率の測定値が良く一致した。一方胚胎地点では、堆積物表層(約5 mbsf: meter below seafloor)までは一致するが、深度が大きくなると、室内試験と比べCPT換算値の方が、堆積物強度は高く細粒分含有率は低く見積もられた。堆積物試料回収中に崩壊してしまうような微小なメタンハイドレートの存在が胚胎地点の原位置測定に影響することも考えられる。今後は地化学分析の結果と併せて検討する必要がある。
CPT調査は連続的に取得でき、室内土質試験の取得値との相関が一般によく、酒田海丘でも有用といえる。胚胎地点では基準地点とは明らかに異なる傾向を示すことから、メタンハイドレート胚胎域の推定にも地盤強度調査は有用だと考えられる。堆積物試料の採取・測定には時間がかかるため、両者を組み合わせることで海域の特徴の効率的な把握につながるだろう。
本研究は、経済産業省のメタンハイドレート開発促進事業の一部として実施した。