日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT45] インフラサウンド及び関連波動が繋ぐ多圏融合地球物理学の新描像

2022年5月30日(月) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (39) (Ch.39)

コンビーナ:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)、コンビーナ:市原 美恵(東京大学地震研究所)、コンビーナ:乙津 孝之(一般財団法人 日本気象協会)、座長:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)

11:00 〜 13:00

[MTT45-P07] MOMOロケット内で実験を行う際の小型微気圧波発生装置のパラメータ最適化

*田中 智泉1山本 真行1 (1.高知工科大学)

任意のタイミングで複数回インフラサウンド(微気圧波)を発生させることができる小規模実験装置の開発と、高高度を飛翔している観測ロケット内でインフラサウンドが観測可能な装置のパラメータの選定を行った。 高層大気中でのインフラサウンドの音波伝搬特性は完全には解明しきれていない。解明のためには観測データの数や質を向上させ検証を積み重ねていく必要がある。現在、中間圏・熱圏のうち高度約 50 km から 250 km 高度域の直接計測は観測ロケットの通過時のわずか数十秒から数分のみである。ロケット内で実験が行える高度40〜100 kmの気圧条件を真空装置で模擬して行う。本研究では、圧縮された窒素(N₂)ガスを瞬間的に放出することでインフラサウンドを発生させる方法を用いた。窒素ボンベから噴出口の間に電磁弁を設け、電磁弁を小型PCラズベリーパイ上の自作ソフトで制御し、任意タイミングでの瞬間的な噴出を可能にする。 噴出口とインフラサウンドセンサとなるマイクの位置関係、ボンベから出す圧力、噴出時間、チョークの絞り具合を変え、上空の観測ロケット内の実験でも観測可能な装置条件を選定した。また、機器が低圧環境でも全て問題なく使うことができるか確認した。 真空装置で高度40 km付近の高層大気中の気圧(20~25 Pa)に調整し、噴出口とセンサの距離が15 cm、チョークの目盛りが1、ボンベ1次圧力が0.3 MPaで0.5 s間N₂ガスを噴射したとき、実際の打ち上げ時に観測が期待できる結果を得られた。出力のピークは37 Paであり、飛翔中の雑音が大きい高度40 km付近の気圧条件の出力値として、雑音に埋もれない十分な値と考えられる。大振幅信号検出後に出力波形が大きく沈み込まない場合、本研究の戻り時間の結果よりも早く、コンデンサがセンサとして機能回復している可能性が考えられ、今後センサの大振幅信号検出後に開発した装置とは異なった音源用いてセンサとして機能回復する時間を詳しく検証を行う必要がある。真空装置で高度40、60、80、100 km付近の気圧に調整し、先の実験で選定した装置条件で機器が低圧環境でも全て問題なく使うことができるか確認した。高度40 kmで一番大きい出力が得られた。これはN₂ガス噴出により動かされる大気分子が多く疎密波が発生しやすいからと考えた。つまり高度が上がるにつれ周囲の雑音が小さくなるため高度40 kmの気圧条件で雑音に埋もれない十分な値であれば高度60 km以上でも観測可能と考えられる。 結論として噴出口とセンサの距離が15 cm、チョークの目盛りが1、1次圧力0.3 MPaで0.5 s間N₂ガスを噴射したとき、高層大気中のロケット内で行っても観測が期待できる実測結果が得られた。